被災者意識調査

NHKが、被災3県の被災者を対象にアンケートを行いました。その結果の中から。

「当初、あなたが思い描いていた復興と比べて、今の復興の姿をどう考えますか?」という問には、
① 思い描いていたより良い 21%
② 思い描いた通りだ 20%
③ 思い描いていたより悪い 49%
で、悪いという回答が半分です。思い描いていたより良いが2割もあるのは、うれしいですね。

その内容を聞くと
A.道路や鉄道等の交通インフラ 復興した60%、していない21%
B.役所や病院、学校等の公共施設 復興した52%、していない23%
C. 地域経済 復興した14%、していない49%
D. 地域のつながり 復興した23%、していない44%
E. あなたの住まい 復興した46%、していない23%
F. 暮らし向き 復興した27%、していない32%
(「復興の実感がある」と「やや実感がある」を「復興した」に、「あまり実感がない」と「実感がない」を「していない」と集計しました)

すなわち、インフラ、公共施設、住まいは復興したのですが、地域経済、つながり、暮らし向きが復興していないのです。復興事業ではなく、産業やつながりが戻っていません。行政は「復興事業は終わった」と考えますが、住民にとっては、インフラ復旧や住宅再建が目標ではなく、暮らしの再建が目標です。
これは、難しいところです。産業やつながりが再建しないと、町のにぎわいは戻らないと考え、それらにも手を打ちました。しかし、「産業復興支援の難しさ」にも表示しましたが、これらはお金をつぎ込めばできるものではなく、役所だけでできるものではないのです。

また、この地域の多くは、被災前から人口減少が進んでいたところです。それが、被災を機に、他の地域へ転出することで、急速に進みました。土地のかさ上げや高台移転工事を、待てなかったのです。その中での復興なので、難しさが二重になります。
もちろん、被災地でなくても人口減少が激しいところは、たくさんあります。人口減少、地域の活力低下は、日本の重要課題なのです。

ところで、このアンケートは4000人中、回答は1965人。回答者の内訳は、平均年齢69歳、高齢世帯が41%、年金生活者が42%です。やや、偏りがあるようです。