2月12日の朝日新聞「原発事故を考える 東京学芸大学入試問題から」。小松理虔さんの発言。
・・・東京電力福島第一原発の事故が起きてから間もなく9年。ニュースでは復興、避難、廃炉、風評などの言葉が数え切れないほど使われてきたが、どれだけの人が身近な課題として感じられているだろう。原発事故の影響に関する入試問題(東京学芸大、2012年度)を題材に、福島県いわき市の地域活動家、小松理虔(りけん)さん(40)に語ってもらった・・・
・・・魚や野菜など福島県産の食べ物を「食べる食べない」の判断の違いもあります。僕が住むいわき市では、お歳暮で県外の親戚に福島県産のものを贈ると「気にされるかも」と思う人もいるでしょう。一方、知り合いの魚屋は県外から注目されていますが「むしろ県内客の売り上げが回復していない」といいます。この9年で福島の内側にいる人が被害者意識を強めて、「どうせ福島のものは受け入れられない」といったトラウマを抱えている、と僕は感じます。
被害者同士が傷つけ合うような状況もあります。避難指示のなかった地域から県外で避難を続ける人たちに対し、「福島を危険だと言って傷つけている」との声が出てくる。一方、政府を批判したいと思うあまり危険を過度にあおったり、再生や復興をネガティブに語ったりする人も。福島の声と言っても多様で、一口には語れない難しさがあります・・・