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官僚論、松井教授「政治から解放を」

2019年8月6日   岡本全勝

8月6日の日経新聞経済教室は、松井孝治 慶応義塾大学教授の「官僚制の劣化を考える(上) 若手官僚、政治から解放を」でした。

・・・課題は、政治主導の担い手が結局官僚以外に見当たらないことにある。多様な関係者の利害調整を行い、納得を得る着地点を探るには高度な政策知識が不可欠で、政治家がその任にあらざれば、空隙を埋めるのは官邸官僚など幹部官僚しかいない。
官僚の「政治化」、すなわち与党への応答性の高まりは、野党議員の「政治的官僚」への敵愾心をあおり、官僚総体への追及が激化する。結果、中堅若手に被害が及び、霞が関の政策調査・企画資源は着実に蝕まれている。昭和以降、永田町の政治的調整の黒子役を担ってきた官僚たちは、今や政治調整にからめとられ、政治に取り殺されようとしている。
その意味で政治主導の担い手の充実が急務だ。08年制定の公務員制度改革基本法に立ち返り、内閣のもと、若手与党議員が大臣らの指示により政治的連絡調整を行う日本版の議会担当秘書官(歳費以外は無報酬)や非議員の政治任用特別職を増員し、政治任用職と次官・局長ら幹部職以外の政官接触は原則禁止するなどの措置を検討してはどうか・・・

・・・専門性向上の観点からは、民間人材の積極的登用も重要だ。金融、情報通信、知的財産、技術開発など行政の専門化、グローバル化の進展は目覚ましく、霞が関の「内製」のみでは後れを取る。広報、法令順守などの職種は、職責からして外部人材の視点が不可欠だ。政策の競争力を高め、社会的信頼を向上させるべく、職種別、省庁別に中長期的な民間専門人材登用の目標を定め、外部任用を促進する必要がある。
公務員倫理法・倫理規定の精神を尊重しつつも、官僚が霞が関に閉じ籠もらず、現場と交流しやすい環境を作るべく、同規定の弾力化も検討課題だ。国家公務員試験も、より積極的に人材を発掘登用できる抜本的見直しの時期ではないか・・・

・・・明治以来、所管領域ごとに森羅万象を調整する「司祭としての霞が関」は、実質的に立法や司法領域に越境し、憲法に照らし過大な業務を抱え込んだ結果、機能不全を生じつつあるのではないか。与党事前審査の場を事実上設営するのも各府省だし、国会の名において行われるべき野党中心の行政監視機能の受け皿も官僚が担っている。
内閣法制局は実質的違憲立法審査機能を担い、国会が行うべき法案審査は、法制局と各省が政治の意思を踏まえ肩代わりしている。連日連夜、行政に調査を求め、結果が出ればお手盛りと糾弾するのみの国会を改革し、独立して行政監視や独自調査を行う人員体制を国会に整えるべきである。
政党の調査機能の充実も急務である・・・

アサガオが咲きました

2019年8月5日   岡本全勝

ついに、アサガオが咲きました。
ここのところ、ツルが伸び、葉っぱも茂ってきたのですが、なかなかつぼみがつかず。先日、小さなつぼみが出てきたので、期待していました。
今朝、赤い花が一つ咲きました。明日開くであろう、大きなつぼみもあります。これから毎朝楽しめそうです。

採点の難しさ

2019年8月4日   岡本全勝

東京大学出版会のPR誌『UP』8月号、松原望先生の「テスト・リテラシー 教育にテスト結果を生かそう」に、次のような話が載っています。

アメリカの例(1912年-13年)ですが、6年生の人文地理の記述式答案に対する、557人の教師による採点結果です。
同一の答案なのに、89点をつけた先生から、38点をつけた先生まで、開きがあります。この2人だけが極端なのではなく、この間に555人の先生が分布しています。これにはびっくりです。生徒はもっとびっくり、がっかりしたでしょう。
評価の基準を明らかにしておかないと、このようなことも起こるのでしょうね。

連載執筆状況

2019年8月4日   岡本全勝

みなさん、お元気でお過ごしですか。梅雨が明けると、とても暑い日が続いています。今年の暑さは、こたえますねえ。

とはいえ、連載「公共を創る」の締めきりは、待ってはくれず。あんなにたくさん書きためたと思っていたのに、あっという間に、貯金が残り少なくなりました。
続き(第1章3(3)主体と手法の拡大)は7月中旬にはほぼ書き上げ、不安なところを関係者に確認してもらっていました。他方で、右筆に手を入れてもらうことを督促して、昨日、完成させました。

ここのところ、昼もなにかと用務が入り、夜は異業種交流会が続いています。昨日は冷房を入れて、頑張りました。

経済政策の課題

2019年8月3日   岡本全勝

7月29日の日経新聞経済教室、小峰隆夫・大正大学教授の「参院選後の安倍政権の課題(上) 社会保障改革議論 超党派で
・・・参議院選挙が終わった。今回の選挙結果は直接的に安倍政権の経済政策に修正を迫るものではない。だがこれを機に、選挙前から引き継がれてきた課題や選挙中に各党が繰り広げた議論を踏まえて、これからの経済政策に求められる基本的な方向を3つ指摘したい・・・

・・・第1は非常時型の実験的・冒険的政策から平時の正統的な政策への回帰を図ることだ。バブル崩壊後の約30年の日本経済は資産価格の暴落、不良債権問題、デフレ、金融危機、2008年のリーマン・ショックなど、次々に未知の課題に直面した。いずれも前例のない出来事だったため、対応は実験的な試行錯誤の連続とならざるを得なかった。
その結果、ゼロまたはマイナスの超低金利が続き、日銀が新規発行される国債を買い占めるとともに一般企業の大株主となり、先進国中最悪の財政状態になった。財政金融政策の姿は持続不可能なものといえる。
一方で、経済の現状はもはや異例の政策対応を必要とするような異常時とは言えない・・・

・・・第2は生産性の向上に本気で取り組むことだ。長期的にみた日本経済の最大の課題は、生産年齢人口の減少(人口オーナス=負荷)という流れに対抗して、生産性を引き上げ、持続的な成長を実現することだ・・・前述の期間、日本の労働力人口は0.7%増加する一方、労働力人口当たりの生産性は0.5%の上昇にとどまる(図参照)。主に動員型で対応してきたということだ。生産年齢人口が減ったのに労働力人口が増えたのは、それまで労働力人口ではなかった女性、高齢者、外国人が参入したからだ。
こうした動員型の対応はいずれ限界に達するから持続可能ではない。また新たに参入してきた労働力は、賃金や生産性の低い非正規労働が中心だった。これが、雇用情勢が逼迫しているにもかかわらず平均賃金があまり上昇せず、平均的な労働生産性も高まらない主要な理由の一つだ。今後は労働者1人当たりの生産性の上昇を主要な目標として成長戦略を練り直すべきだ・・・

・・・第3は超党派で財政・社会保障改革に取り組むことだ。持続的な財政・社会保障の構築が日本経済にとって最重要の課題だと誰もが分かっている。だが参院選での各党の議論は、とても問題の解決に向かっているとは思えないものだった・・・
・・・財政・消費税・年金などの問題は、真剣に議論すれば国民負担を伴わざるを得ない。こうした問題を政争の具、選挙の争点にすると、負担を嫌がる国民にこびる公約が乱発され、問題解決からは遠ざかるばかりとなる。参院選でこのことが改めて確認されたといえる・・・