年別アーカイブ:2019年

ミューシャ展、日本の遊楽図展

2019年8月17日   岡本全勝

先日、渋谷文化村美術館の「みんなのミューシャ展」に行ってきました。ミューシャは、5月にプラハの美術館に行ってきたばかりです。
ミューシャの絵と共に、彼の影響を受けた画家たちの絵が並んでいました。当時としては、斬新なデザインだったのでしょうね。その女性の姿、全体の構図、細部に描かれた意匠に、作家の才能と努力が伝わってきます。

引き続き、サントリー美術館の「遊びの流儀展」に。こちらは、日本画の世界です。桃山時代に花開いた、遊びやカブキが屏風絵となって、全国に伝えられたのでしょうね。これだけの作品を集めたとは、力の入った展覧会です。

サントリー美術館の売店が、うれしいです。日本の美を伝える小物類が、たくさん並んでいます。中には、値の張る物もありますが、美術品としてはそれだけの価値があると思います。
お隣にある、ワイス ワイス トゥールスも、伝統的な小物を現代風にして売っています。こちらも決して安くないのですが、それだけの価値はあります。
外国から来るお客さん(金持ち)や、日本の伝統文化を生活に使いたい人に、もっと買って欲しいです。外国人をはじめとする観光客のお土産が、新撰組のはっぴや木刀では寂しいですよね。

歴史の見方、思想が動かすか情念が動かすか

2019年8月16日   岡本全勝

歴史の見方、指導者の歴史と民衆の歴史」の続きです。
もう一つの区分に、歴史は理念で動くとみるのか、情念が動かすとみるのか、があります。
思想の歴史といった書物を読むと、哲学者の思想が並んでいます。確かに、彼らの思想が社会を動かしたこともありますが、大衆はそれを知らなかったことも多いです。
江戸時代の思想とか、昭和時代の思想といった場合、大学で講義されていた思想や書物に表されていた思想は、それぞれの時代の思想の一部でしかありません。というより、大衆からは離れ、ごく一部の人の思想だったでしょう。本屋に並んでいるのは、(ヨーロッパから輸入した)最先端の思想書です。

確かに、ルソーやモンテスキューの思想が、近代市民革命の思想的基盤になったのでしょう。しかし、フランス革命とナポレオンを支えた民衆は、そのような思想ではなく、情念で動いていたと思います。また、フィレンツェで、サボナローラの神権政治を支えた市民も、たぶん情念で動いていたのでしょう。
民衆だけでなく、指導者にあっても、鹿島茂さんが『ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789-1815』で描いたように、情念で動いているようです
情念が時代を動かす

歴史の見方、指導者の歴史と民衆の歴史

2019年8月15日   岡本全勝

歴史を語るときに、エリートや指導者を見るのか、民衆を見るのかの違いがあります。前者は、王様や英雄を語ることで、歴史を書きます。後者は、社会の変化を見ます。
これまでの歴史学は政治史が中心で、前者に偏っていました。年表は支配者の交代で時代が区切られ、記述も戦争や支配形態が主でした。読み物も、英雄の伝記が多かったです。

それはそれで面白いのですが。政治史では、民衆がどのような暮らしをしていたのか、どのような変化があったのかわかりません。
王様が交代しても、民衆はほとんど変わらない生活をしていたのでしょうね。他方で、生産技術の向上、思想や信仰の変化、生活はどのように変わったのか。そのようなことを知りたいです。社会史や文化史の視点が必要です。
この項続く

歴史の見方の変化」「加藤秀俊著『社会学』」「覇権国家イギリスを作った仕組み、10。エリート文化と民衆文化

小布施と北斎

2019年8月14日   岡本全勝

先日、キョーコさんのお供をして、長野県小布施町に行ってきました。夏休み期間中なので、どこも満員のところ、宿と列車が予約できたのです。
小布施が栗の町であり、町おこしに成功したことは知っていました。一度行ってみたいと思っていました。
小さな町なので、お薦めの場所は一日で回ることができました。駅前の観光案内所の方が、的確に教えてくださいました。ありがとうございました。

葛飾北斎が晩年に滞在し、見事な絵を残していたことは、初めて知りました。80歳を超えて、江戸から小布施まで来たとは、大した脚力です。
岩松院の鳳凰は色鮮やかで、170年前の絵とは思えません。本堂の天井で、特段の保護をされることなくここまで残ったのは、顔料と絵師の技でしょうね。

修景によって、落ち着きのある街並みができています。
泊まった宿の夕食がイタリアンだったのは、やや疑問でしたが。

肝冷斎は酷暑の中を、野外活動野球観戦に精を出しているようです。

アメリカでの児童虐待対策

2019年8月14日   岡本全勝

8月12日の朝日新聞「児童虐待対策、カギは「予防」 アメリカでの取り組みは」から。

・・・子どもの虐待対策を強化するための改正法が6月に成立した。適切な保護などが柱だが、日本より約30年早く虐待防止法ができた米国では、様々な家庭訪問プログラムで虐待を未然に防ぐ取り組みなどにも力を入れている。現場を訪ねた・・・
・・・ブラウンさんは、実家を追い出されて恋人と暮らしていた15歳の時に長女(5)を妊娠。途方に暮れ、未受診のままだった。おなかが目立ち始めた頃、道で声をかけたのがペイジさんだ。
「大丈夫? 相談できる人いる?」。出産も育児も教わる人はおらず、パートナーも知識不足で頼れない。迷った末、HFAが5歳まで無料で実施している、家庭訪問プログラムの利用を申し込んだ。
以来、次女の子育てに至るまで、子どもの発達や安全の知識、泣きやまない時の対処法などを、ペイジさんから手取り足取り教わってきた。1時間の家庭訪問を最初は週1回、育児に慣れてきたら月2回。自宅だけではなく、公民館やファストフード店など、気兼ねなく会いやすい場所に来てもらうことも可能だ・・・

・・・米国では1974年に、一時保護など早期介入を進めるための児童虐待防止法が成立した。ただ、米国の虐待対策に詳しい山梨県立大の西澤哲教授によると、保護しても里親に定着しないなどの問題が明らかになり、2000年代に入ると予防の重要性が認識されるようになった。
特に盛んになったのが家庭訪問プログラムだ。初産・低所得の家庭に2歳まで家庭訪問を続けると虐待が約5割減るなどの実証結果が積み重なり、寄付金などで活動するNPOなどが取り組みを広げた。10年、オバマ政権が5年間で約15億ドルの連邦予算を初めてつけ、今では約18のプログラムが助成対象になっている。全乳児を看護師が訪ねる、リスク家庭に集中的に通うなど、メニューは様々。各地で子育てや福祉などの支援者が情報交換して、当事者を必要なプログラムにつなげている・・・