日経新聞私の履歴書、11月は、化粧品のファンケル会長、池森賢二さんです。ご苦労なさった人生を書いておられますが、きょう紹介するのは、役所の対応です。どうやら、無添加化粧品の評判を気にした同業者が、行政を使って嫌がらせをしたようです。
11月14日「小瓶革命」
・・・人気がうなぎ登りとはいえ、世間的な認知度はまだまだ低い。当然様々な妨害行為や理不尽な目に遭う。1985年、厚生省の薬務課の職員が「おたくの会社は製造年月日を入れているようだが、インチキだという連絡があった。確かめさせてもらう」と言ってきた。ライバルからの嫌がらせだろう。
千葉県流山市の工場に調べが入り、説明した。化粧品は製造した原料をタルクという容器に保管し、3日後に瓶詰めにする。ファンケルではタルクに保管した日を製造年月日としていたら担当者は「製造年月日は瓶詰めの日で構わない」と話す。インチキどころか、良心的だったわけだ。この話はこれで終わった。
当時の神奈川県の薬務課の対応にも手を焼いた。「無添加とは何か」と聞いてくるので、「防腐剤などが入っていない化粧品です」と答えると「既存の商品は規制をクリアしている。ファンケルは我々のやり方にケチを付けるのか」などと因縁を付けてくる。そして「無添加」という言葉を使うなともいう。
そこで「新鮮作りたて」はどうかと聞くと、「それならいいだろう」という。別の担当者に変わると「新鮮というのは意味が不明確だから無添加ならいい」というので再び無添加に戻した。初めての商品とはそういう目に遭うのかもしれないが、余りにひどい。すると今度はチラシにもご指導が入る。とにかく県庁までチラシをもってこいという・・・
11月15日「行政指導と反社」
・・・神奈川県の薬務課からお呼び出しがかかった。担当者にチラシを見せると「この表現はおかしい」「あの表現もダメ」とダメ出しを食らう。何度足を運んでもOKが出ない。しまいには「1文字も書くな」などと怒られる。チラシを出すことさえ、許されない状況に追い込まれた。
しょぼくれてエレベーターに乗ると同じ薬務課の人が乗ってきてくれて「大変だね。チラシがうまくいくヒントを教えましょうか」と言ってくる。何かと聞くと・・・
どのようにして、このとんでもない行政指導を切り抜けるか。続き原文をお読みください。公務員の皆さん、他山の石としてください。