11月2日の朝日新聞オピニオン欄「ワーク・ライフ・・・過労」。渥美由喜さん(東レ経営研究所主任研究員)の発言から。
・・・僕も長男(13)と難病の次男(9)を育てながら、父の介護をしています。AI系の技術者の妻は超多忙。家庭のことは夫婦でほぼ折半していて、僕も何度かぶっ倒れそうになりました。
その経験から言えるのは、ワーク・ライフ・バランスは足し算で考えると破綻するということ。ワークにもライフにも多くの時間と労力をかけるのでなく、「引き算」と「かけ算」の組み合わせで考える必要があるということです・・・
・・・ そしてタスクは引き算しても、自己評価は足し算で。「楽している」と思うと罪悪感に襲われますが、「私(オレ)、よくやっている」と思えば、明日に向かえます・・・
そして企業に対しても、改革を訴えます。
・・・ワークに関しては企業風土を変えることで、もっと引き算できる余地があります。日本企業は「公平の軸」が強く、社員に等しく長時間労働や転勤を求めてきました。応えられない場合は、低い給与や昇進コースからの脱落を覚悟しなければなりません。
僕が推奨したいのは、欧州型の「公正の軸」です。達成すべきタスクと労働時間を切り離し、タスクをこなせば短い勤務でもきちんと評価する。子育てや介護でキャリアに差がつけば、後でフォローするのです。
ある先進企業では、個人の状況でワークとライフの優先順位を付けられるように、一人ひとりに合うコースや評価システムを設けていました。働き方を多様にすれば、そもそも不公平感も出ません・・・