日本の近現代150年をどのように分析するか。最近の政治外交史研究

東京財団政策研究所の「政治外交検証研究会レポート ―政治外交史研究を読み解く― 第1回 日本政治外交史研究の動向」を紹介します。
・・・政治外交検証研究会は、日本政治外交史研究と、国際政治史研究の近年の研究動向を回顧しながら、最先端の研究により何が明らかになり、どのような課題が残されているのかを考察する研究会を行いました・・・

・・・戦前「形成期」・戦後「形成期」を五百旗頭が、戦前「展開期」と戦後「展開期」を奈良岡さんが執筆するというもので、著者の個性を通じて、四つの時期の個性も浮かび上がり、150年を一望する一つの試みにはなっただろうと楽観しております・・・
このように、150年をどのように区切るか。それ自体が、歴史をどう見るかという視点の反映です。この見方だと、現在は「転換期」でしょうか。

次のような、最近の研究動向の整理もあります。
・・・一つ目は、「利益政治(注:地方への利益誘導を引き換えに集票するという営み。同著p.196より)の前史をいかに位置付けるか」という問いです。戦前史を研究する多くの研究者の動機の一つに、自民党長期政権に象徴される戦後の利益政治の起源を理解したい、ということがあります。しかし昨今、この利益政治が弱体化しています。とすれば、前史としての戦前の捉え方はいかに変容してきたのか、考えるべき時だろうと思います。
二つ目は、政軍関係に関する近年の研究動向です。というのも、冷戦崩壊後の国際情勢の中で、北朝鮮や中国をめぐる安全保障問題がより強く意識されるようになっています。この問題に対処する基盤として、政軍関係の歴史を理解することが一層、重要になっています・・・

その中に、次のような指摘もあります。
・・・先に利益政治をめぐって取り上げた政党政治についても、科学や技術の視点が組み込まれつつあります。法科出身者中心、内務省中心の官僚制が地方利益に応答していたのが、1920年代の政党内閣期に各省のセクショナリズムが強まり、統制が難しくなったことは、既に知られていました。若月剛史『戦前日本の政党内閣と官僚制』(東京大学出版会、2014年)はさらに一歩踏み込み、各省がどのように内務省に離反するようになったかを、逓信省などの現業官庁に着目して明らかにしています。こういう研究も、現代との対話の所産ではないでしょうか・・・
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