野党、政権交代への道筋

7月26日の読売新聞解説欄「野党 体勢を立て直すには」、砂原庸介・神戸大教授の発言から。

・・・投票率が50%を切った背景に、有権者が投票先を選ぶ手がかりが乏しいことがあるのではないか。各政党のラベル(名前)は本来、投票の有力な手がかりになるはずだ。しかし、野党が非常に弱く分裂しており、野党のラベルは手がかりにならなかったのだろう。
候補者についても、その属性が決定的な手がかりにはなりにくくなっている・・・

・・・他方、障害やLGBT(性的少数者)などの属性が手がかりとして注目される候補も少なくなかった。当選した彼・彼女らが、国会に当事者としての視点を持ち込むことは極めて有意義だ。ただ、マイノリティーの当事者だけがその集団を個別的に代表できるとする発想には注意が必要かもしれない。個人の属性と政策への志向を結びつけるだけでなく、政党という集団と、それが生み出す政策への志向を通じて「多様性」を表現すべきだろう。マイノリティーの代表を選択することだけが「多様性」への配慮だとされると、有権者も戸惑うのではないか・・・

・・・野党にとって安倍首相は打ち勝つべき敵かもしれない。しかし、その反対を意識しすぎて、自らの立ち位置が不明になっていないか。政権がやることは全て悪いとすると、あなたがたが政権を取ったらどうなる、と同じ質問がくる。「モリカケ」に象徴される不透明性など政権の問題はあるが、0か1かの対比ではなく、政権党と野党とを並べて優劣を測る共通の尺度を示せていない・・・