持永堯民・元自治事務次官

今日は、持永堯民・元自治事務次官のお別れ会に行ってきました。
私が自治省に入って、県庁での2年間の勤務・勉強を終えて戻ったところが、財政局財政課でした。最初の課長は津田正さん(後の自治事務次官)で、次が持永さんでした。私とは、20歳違いです。
20歳代半ば、駆け出しの事務官には、課長はとても遠い存在でしたが、お二人とも、かわいがってくださいました。行儀を知らない元気な若者を心配して、指導してくださったのだと思います。

財政課では、翌年度の全自治体の地方財政の見通しをつくります。毎年、歳出総額に対して、歳入が不足します。それをどのように埋めるか、大蔵省と協議して対策をつくるのが、課長の仕事です。
課長がメモを元に口頭でおっしゃる項目を、私が文章にします。「課長、それだと、ここがうまくいきません」と問題点を指摘すると、「君が考えろ」とおっしゃいました。知恵を絞って案を考え、了解してくださったことが、よい思い出です。よくまあ、20歳上の課長に反論していたものです。それを、許してくださいました。

放課後の飲み会に課長補佐と一緒に誘ってくださって、ご自身の経験談、特に苦労話をしてくださいました。
その後、私は28歳で県の課長、39歳で県の部長になりましたが、その際に先輩の経験談がどれだけ役に立ったか。困ったときに、「先輩の苦労に比べたら、私の苦労なんか大したことないなあ」と、自分に言い聞かせることができました。旧内務省の伝統でしょう。
次官を退官されてからも、折に触れて、話を聞いてくださいました。話を聞いていただくだけで、安心できるのです。

私が官僚としてここまでこれたのも、持永課長をはじめとする先輩たちの指導のおかげです。たぶん、空の上から「全勝くん、まだまだだなあ」と笑っておられるでしょう。
感謝とともに、ご冥福をお祈りします。