高橋絵里香著『ひとりで暮らす、ひとりを支える』(2019年、青土社)が、勉強になりました。文化人類学者による、フィンランドの高齢者ケアの体験と分析です。
欧米は、日本に比べ、家族が一緒に住まない、一人暮らしが多いと聞きます。では、その場合の高齢者介護は、どうしているのか。著者は、ある町を調査対象として、実際に高齢者ケアに参加し、日本との比較をします。
元気なうちは良いのですが、誰しも衰えが来ます。その際に、どのような援助をするか。なるべく本人の意向を実現するようにします。すなわち、高齢夫婦だけの暮らしや一人暮らしを、町が支援するのです。
日本では2000年に介護保険制度を実施し、高齢者への介護サービスは充実してきました。また、予想以上に利用されています。
その次の課題が、最後(死)の迎え方だと思います。この本では、蘇生措置拒否が紹介されています。本人のほか医師も、蘇生措置拒否を決定することができます。
多くの人に、その決定がされているとのことです。体調を崩した場合、拒否していない人は病院に運ばれ、拒否者は緩和ケアになります。
この項続く。