若手官僚の早期退職

度々、このページで紹介している、NHKウエッブニュースの「霞が関のリアル」。
4月19日は、「この春、霞が関やめました」です。詳しくは本文を読んでいただくとして、若手職員の早期退職の事例とともに、NHKが調べた数字も載っています。

・・・その結果、昨年度、各省庁で辞めた30代以下の官僚(事務職)は、
▼総務省が14人(男8、女6)
▼厚生労働省が6人(男2、女4)
▼文部科学省が6人(男4、女2)
▼防衛省が2人(男1、女1)
▼国土交通省が8人(男3、女5)
環境省と農林水産省は公表していないとして回答はありませんでした。
(未調査は財務省、経済産業省、内閣府、法務省、外務省)
省庁の規模にもよりますが、毎年、総合職の事務職で入省する職員は20人から30人前後・・・
この項続く

自治体と企業との連携、「自治体通信」

自治体通信』という専門誌を紹介します。
ホームページには、「自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。自治体関係者の方に無料配布しております」とあります。全国の自治体に、28,000部が無料で配られているとのことです。
詳しくは、そのホームページをご覧ください

業務の改善から地域の課題解決まで、企業が自治体と一緒に取り組んでいる事例を紹介しています。それら企業の「掲載料(広告費)」で、費用が賄われているのでしょう。各記事の下に、その企業の紹介が載っています。なかなか良い仕組みです。
このような媒体で、先進事例やうまくいった事例を調べることができると、便利ですよね。もちろん、企業の紹介を兼ねているという限界はあるのでしょうが。

私も、2月6日に登壇した自治体向け働き方改革セミナー(三井住友海上火災保険)が、第17号(2019年3月)に載ったので、教えてもらいました。「抜粋」で読むことができます。無料の雑誌なので、できることですね。

これまでの行政と企業との連携は、事業の発注であり、事務の委託でした。行政が決めた業務内容を、企業に引き受けてもらうのです。
しかし、最近の動きは、どのような業務を担ってもらうのか。そこから企業と一緒に考える点が、これまでの民間委託とは異なっています。大震災の際も、様々な協力や協働をしてもらいました。
行政と企業との新しい関係が、進み始めています。このホームページでも、「官民協働」という分類を作りました。

『明るい公務員講座 管理職のオキテ』書評2

ブログ「自治体のツボ」4月16日が、拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』を取り上げてくれました。

・・・いまミドルクラスとされる人たちは本当に大変なのである。自分が若い時は結構な仕打ちを受けてきたのに、さて、いざ自分が権力をもったら強権発動を封じられる。部下に優しく接し、ひとりでも辞めさせないことが重要任務。もとより職場で暴力を振るうのはもってのほかだが、だれもなにも言わなくてもひとつの方向にむかって走るという会社の常識はいまや世間の非常識となり、家庭の事情や心の不調を持つ人のために気配りをしないといけない。働き方改革が強いる自己犠牲。ミドルはその真っただ中にいる・・・
という書き出しです。???と思うと、次のような指摘につながります。

・・・今回読んだ「管理職のオキテ」は公務員向けに働く気構えを平易に説いたものである。ターゲットは課長。役所や自治体の課長に向けてのメッセージが満載である。そのどれをとっても、実は民間企業にも当てはまる。上に書いたとおり、組織で苦労している全ミドル向けのマニュアルともいえる。「全公務員必読」とうたっているが、「団塊ジュニアのミドル必読」と書き換えてもいいのではないか・・・

・・・優秀な部下を持った上司は幸いである。しかし、いまやどこの組織もそんなエース級は少ないだろう。そうすると、いかに中間層の働き手をなだめすかし、ときに叱咤し、戦力に仕立て上げていくか。その技量が課長には求められるのだ。本書はそこを強調する。アリの世界はよく働く上位2割、中間の6割、働かない2割に分けられるそう。この6割への目配りが欠かせない。しかも、この6割、いつ下位2割に転落してもおかしくない。子育てなどでやむなくそうなる人も多い。難しい時代に入った・・・

ありがとうございます。私の伝えたかった要点を、簡潔にまとめていただいて。
この評者も、たぶん企業で管理職として苦労しておられるのでしょう。

AIは人に取って代わるか、3

AIは人に取って代わるか、2」の続きです。
『明るい公務員講座 仕事の達人編』で、パソコンの導入が職員の仕事を増やしたと、指摘しました(P57~)。

パソコンの導入が、なぜ省力化にならなかったか。作業を分解してみましょう。
パソコンで文書を作り、印刷します。文書を作る過程では、「内容の案を考える」「文章を練る」「レイアウトを考える」「文書にする」の4段階があります。

このうち、印刷作業は簡単になりました。業者や専門職員に依頼しなくても、自分でその場で印刷できるのですから。
しかし、「内容の案を考える」「文章を練る」「レイアウトを考える」は、機械はやってくれません。職員の頭で考えなければなりません。ここは、パソコンを導入しても変わりません。

第4段階の「文書にする」は、手書きの案を活字にしたり、きれいな図表にすることは、パソコンを使えば同時にできます。これだけなら、省力化になったはずです。
なぜ、残業を増やす結果になったのか。
「レイアウトを考える」が、くせ者なのです。活字の大きさや書体をどうするかに悩みます。もっといけないのが、パワーポイントでの図や絵の作成です。この作業にはまってしまうのです。あっという間に時間が経ってしまいます。

結論。思考は機械化できない。作業は機械に任せることもできる。
そして、「レイアウトを考える」といった「思考」と「作業」が混在すると、労働強化になることもあります。

勉強会講師「災害時の悲しみと怒り」

今日は、放課後に、官民中堅職員の勉強会に呼ばれて、話しに行ってきました。
話題は、「大震災の際の悲しみと怒りにどう対応するか」です。
これは、なかなか難しい題です。私は、被災現場にしょっちゅう行きましたが、現場に長くいたわけではありません。当事者でないので、悲しみと怒りは、本当のところはわかりません。
しかし、住民や市町村長から、話を聞いたり、突き上げを受けました。特に、原発事故について、被災者からの政府への怒りを受け止めることは、ずっと続けています。

これまで、その場その場でいろんなことを思ったのですが、じっくりと考えたことはありませんでした。「行政の外の話だろう」とです。
悲しみにくれる被災者を、どのように支援するのか。怒りを抑えられない被災者に、どのように対応するのか。「町の復興の3要素」に入っていない要素です。
もちろん、人の心に行政が立ち入ることは難しいです。参考「現代の宗教事情
行政への怒りにどう対応するかは、行政の課題そのものです。
今回、話をするために、論点を整理しました。すると、改めて、大きな課題であることに気づきました。いずれ、説明しましょう。

ところで、私が「仕事」をしている時間に、肝冷斎は、今日も神宮球場でお楽しみだったようです。