自治体職員有志によるコンサートの会

各地の自治体職員有志によるコンサートの会」を紹介します。
平成24年から、東日本大震災の被災地を訪問して、被災地を応援しています。元は、福岡市職員音楽会だそうです。会員は、北海道から沖縄まで30の県庁・市町村の職員54名です。

私にも入会のお誘いがあったのですが、ここのところフルートに触れていないのです。もともと、この方々と一緒に吹くほど上手ではありませんが・・・。練習して上手になったら、入れてもらうことにしました。

各地には、上手な方がたくさんおられると思います。そして、演奏の場がなくて、残念な思いをしておられる方も。ぜひ、主催者と連絡を取って、参加してください。都合のつくときだけで良いようです。

被災地視察、4月の雪

昨日今日と、国会議員と一緒に、原発事故被災地を視察してきました。
今回は、避難指示解除が困難な場所と、産業再開を中心に見てきました。
事業者の方の話を聞くと、いろいろと勉強になります。施設設備の整備に対しては補助金で支援できるのですが、従業員確保、販路拡大など、お金では解決できない課題も多いです。農業再開も、担い手の確保や、農地の規模拡大などの課題があります。

ふたば未来学園は、今年から中学生を迎えます。新しい校舎ができあがり、引っ越しの最中でした。
生徒たちが地元の人たちと地域の課題などについて考える部屋「双葉みらいラボ」も、ちょうど企画をやっているところでした。学校って、意外と地域とはつながりが少ないのですよね。運動会に父兄が来ることを除くと。日本財団の支援です。
特色ある教育について説明を受け、また高校生の発表を聞いてきました。しっかりした発表で、びっくりしました。

ところで、この時期に、阿武隈高地は雪が降り、積もっているところもありました。木々は、白い花を咲かせているようできれいでしたが、気温は零下で寒かったです。
桜の名所である富岡町の夜の森の桜並木も、まだつぼみでした。去年は、4月3日に満開だったそうです。今年は、6日と7日に桜祭りを予定しています。今年は、ふだん立ち入りを制限している桜並木も、バスで通ってもらいます。

苅谷剛彦先生「演繹型の政策思考」

4月1日の日経新聞教育欄、苅谷剛彦・オックスフォード大学教授の「根深い演繹型思考が背景 迷走する政府主導の大学改革」から。

・・・英国から帰国の度に日本の大学人から、改革疲れ、改革への徒労感といった話を聞く。大学改革を進める側の理念と教育現場とのギャップを示す現象である。大学改革が迷走しているといってもよい。

なぜ、迷走は続くのか。佐藤郁哉編著『50年目の「大学解体」20年後の大学再生』への寄稿で展開した私の答えは、「演繹型の政策思考」と呼んだ思考様式にある。
しかも、その根は明治以来の日本近代化の出発点に遡る。日本の現実を丹念に観察し、そこから得た事実から帰納的に思考し、制度を設計してきたのではない。先進する外来の制度と理念を抽象的に理解し、その翻訳と解釈を通じて日本に適用してきた。演繹と帰納の両方を不可欠とする社会科学的思考とは異なる、法学的思考を基礎とした日本型官僚制に根ざした思考様式である。権力の上下関係だけでなく、思考スタイルの点でも、「上からの改革」を進めるざるを得ない習性が現代に引き継がれたのだ・・・

私が指摘している、「明治以来の追いつき型行政」の限界の例です。
教育行政も、欧米をお手本としていました。追いついたときに、「自分で考える」に転換する必要があるのです。それに遅れています。
「欧米に留学する」ことが「定番」で、「教育現場で課題を拾って解決する」ことになっていません。文科省には、学校現場で教えた、そして苦労した経験がある職員は、どの程度いるのでしょうか。

もう一つ、追いつき型行政の欠点があります。日本を発展させる過程で、学校教育は「優秀な国民をつくる」「よい子を育てる」が目標になりました。生徒を難関校に入れる、スポーツで良い成績を上げる・・・です。
落ちこぼれが出ることを、想定していないのです。しかし、みんながみんな、「よい子」にはなりません。彼らへの対応も、遅れています。

文科省から、教育委員会、教師まで、この思考の枠組みにとらわれています。国からの指示を待って実行するのです。「教育現場で課題解決する」という思考になっていません。
昨年、ランドセルが重いという問題が、指摘されました。文科省が「必要に応じ適切な配慮を求める通知」を出したようです。しかし、これなども、文科省が指導するような話ではないでしょう。

三谷太一郎先生「首相統治」

3月29日の朝日新聞オピニオン欄、三谷太一郎・東京大学名誉教授の「平成から新時代へ 冷戦後デモクラシー」から。このインタビューには様々な重要な論点が含まれているのですが、ここでは2つだけ紹介します。

・・・これは日本だけの変化ではありません。私は、日本にも「首相統治」の時代が来た、と考えています。まずそれが出現したのは、第2次世界大戦後の英国です。大戦の影響もあって、英国では立法と行政が非常に強く結びついた首相統治が生まれた。政治学の教科書でいうような権力分立制ではなく、真の権力はダウニング街10番地(首相官邸)にある。大戦中の英国の首相はカリスマ的指導者のチャーチルですが、そのあと、労働党のアトリーになっても首相統治は続いた。指導者のカリスマや個性の問題ではないのです・・・
・・・小選挙区比例代表並立制という現行制度が、首相統治を支えているのは間違いない。党内権力が少数の幹部に集中し、選挙候補者の選任や政党助成金の配分に、首相が大きな力を持った。加えて、内閣人事局による行政への支配が強まり、立法と行政の権力分立が縮小し、癒着問題が生まれた・・・

私は、その原因について、少々違った見方をしています。「首相統治」は、それを要求する、現代国家における世界共通の背景があります。他方で、それを容認する仕組みも必要です。そしてなにより、首相の運営方法によります。これについては、別の機会に書きましょう。

「現在もまた、議会制民主主義の危機がいわれています」との問に。
・・・重要なのは、個別の政党の影響力を拡大する以前に、「個々の政党の利益を超えた価値」を維持するメカニズムを構築することです。議会自体の持つ「公共性」を考えるべきでしょう。社会の中で注目されていない意見を、党派を超えて取りあげる。議会が選挙民を啓蒙する教育的機能も大事です。党派と関係なく議会が持っている「公共性」というものがないと、実は政権交代も円滑には進まないのです・・・

日本社会を変える働き方改革

4月1日から、働き方改革の法律改正のいくつかが適用されます。3月25日の日経新聞夕刊「働き方ルール どう変わる? 」が、わかりやすい解説をしていました。
働き方改革にはいくつもの項目があるのですが、特に大きいのは「残業時間の規制」と「同一労働同一賃金」でしょう。これが日本の職場や労働慣行を変えることになると、期待しています。

残業規制は、長時間労働をなくすためのものです。これまでの働き方を変えないと、この規制にひっかかる職場は多いのではないでしょうか。これをきっかけに、長時間労働が減り、効率が上がると良いのですが。

もう一つの、同一労働同一賃金は、正規と非正規の格差を是正することになるでしょう。
・・・同じ企業の中で同じ質と量の仕事をしているならば、年齢や性別などの違い、そして正社員やパートなど雇用形態の違いに関係なく、同じ額の賃金を払わねばならないという原則です・・・
・・・雇用者全体に占める非正規の割合は18年の平均で38%になります。また非正規の平均年収は17年で175万円と、正社員の35%の水準です。そこで能力や経験が同じであれば正社員と同一の基本給を支給するなど、待遇差を縮小することにしたのです・・・