NHKウエッブニュース「霞が関のリアル」に「民間人がたくさんいる」という趣旨の記事があります。内閣人事局の調べでは、昨年は5,890人だそうです。12年前に比べて、2.5倍になっています。
民間出身者には、いくつかの型があります。
民間出身と言っても、
・企業に籍を残して来てもらう場合
・民間人を採用する場合
があります。
期間については、
・途中採用で終身雇用
・任期付き採用
業務については、
・専門業務(金融や法務の知識、インターネットのセキュリティ対策)。新人を育てるより、その能力を持っている人を雇う方が合理的です。
・期限が限られている組織や業務(復興庁、オリンピック準備)。業務が終わったら、やめてもらわないと行けません。
このような理由から、今後も民間出身者は増えるでしょう。自前で養成するより、ずっと合理的です。また、霞が関が閉じた世界にならないために、官僚たちが世間知らずにならないためにも、良いことだと思います。
ところが、次のような指摘もあります。企業から出向した佐藤さん(仮名)の場合です。
・・・「あまりに過酷で、体調を崩す人もいました。出向者の間では、『出向期間、残り○日間』とパソコンで残り日数を数えるなんてこともしていました。出向期間中、給与は国から支払われましたが、私の場合は月10万円ぐらい下がっていました。当時は独身だったのでまだよかったですが、家族がいたらどうするんだろうと思いましたね」
佐藤さんが2年余りの出向を終えて本社に戻ると、会社は元の給与との「差額」を補填(ほてん)しました。その額は500万円以上だったそうです・・・
そうなのです。金融庁や経産省などに、弁護士さんがたくさん、任期付きで採用されています。給料が激減するのだそうです。でも、「勉強になる」「箔がつく」「その後の仕事に役に立つ」などの理由で、3年程度を辛抱しているとのことです。
公務員の給料水準は民間企業に準拠しています。しかし、それは、全体での比較のようです。高度専門業務をしている企業の社員と、同等の仕事の公務員とは、同水準になっていないのです。公務員の給料が「平等」になっているからだと思います。
企業の社員と公務員との給与格差は、上に行くほどひどくなります。官民交流を進めていますが、管理職や50歳くらいだと、優秀な民間人は公務員になろうと思わないでしょう。よほど、犠牲的精神がない限り。
参考「次官・局長の報酬と社長・専務の報酬」