統計不正問題2、仕事の流儀

統計不正問題」の続きです。2つめは、失敗の原因です。
詳細は、調査によって明らかになっていくでしょうが、私は職場慣行の問題と関連させて考えています。
すなわち、「前例通りに仕事をする」「引継書で仕事をする」という職場慣習が、今回の問題の背景にあるのではないでしょうか。

日本の役所では(企業でも同じと思いますが)、異動した際に、新しい職に就いたときに、上司から「あなたのすることはこれだ」と指示を受けることが少ないです。前任者の資料と引継書を見て、また周りの同僚たちに聞きながら、仕事を覚え処理します。大部屋でみんなと一緒に仕事をしている場合は、これで効率的だったのです。

しかし、
・新しい事態に対応できない
・目標と執行管理が不十分になる
・管理職が責任を持たない
などの欠点があります。

今回の統計不正(法令に定められたとおりに実施せず手を抜いたこと)も、「前任者と同じように仕事をする」ことが、間違いが続いた理由の一つでしょう。上司が確認していたら、あるいは職員が入れ替わった際に仕事の内容を指示していたら、防げたはずです。

現場の事実を確認せずに書いているので、間違っていたらごめんなさい。

居心地良い「日本人どうし」を抜け出す

2月28日の読売新聞解説欄、エマニュエル・トッドさん(フランスの歴史人口学者)の「「日本人どうし」抜け出せ」から。

・・・日本はなぜ移民を拒むのでしょう。人種差別主義、あるいは外国人嫌いなのでしょうか。やがて私は問題の核心を理解します。外国人を敵視するのではなく、日本人どうしでいる状態を失うことが怖いのです。日本人どうしの居心地は申し分なく、幸せなのです。日本社会は自己完結の域に達していると言えます。
それは極めて特殊です。フランスの場合、誰もが身勝手で不作法。フランス人どうしでいると不愉快になります。だから移民受け入れに特段の不安はなかった・・・
・・・人口危機は数十年の潜伏期を経て発現し、一気に激化します。合計特殊出生率の極めて低い状態が何十年も続く日本は今や危機に瀕しています。私見では「日本人どうし」に固執する先には衰退しかない・・・

・・・第三に、多文化主義は採用しない方がいい。
欧州ではかつて英国やドイツが多文化主義を唱えていましたが、いずれも「共存」に失敗し、もはや旗を振っていない。ある国で主流の言語・文化は主流であり続ける必要があります。日本は日本語・日本文化を主流として、どうか主義を取るべきです・・
原文をお読みください。

公明党復興本部、原発事故被災地視察

3月2日、3日と、公明党復興加速化本部の原発事故被災地視察に、同行してきました。毎年、井上本部長らが、現地視察をしてくださいます。
今回は、南相馬市小高地区など、避難指示が解除され復興が進んでいるところとともに、まだ避難指示が解除されていない地域を、重点的に見てもらいました。

順次、避難指示が解除され、その地域では住民が戻り、にぎわいが戻りつつあります。他方で、放射線量が高く、まだ解除できない地域もあります。
全面的に一気に解除するのは困難なので、低線量で町を再開できる地域を決めて、拠点を復旧することにしています。まずは、農地や、被害家屋を解体して、そこに新しい町を作ります。
まだまだ、時間がかかります。その点を、見ていただきました。
井上義久・党副代表の記者会見

被災地、今後の公共施設維持

2月28日の朝日新聞には、次のような記事も載っていました。
公共施設維持、悩む被災地 災害住宅が影響、3県で面積16%増
・・・震災から8年、復興事業も大詰めを迎える中、被災自治体は新たな課題に直面している。公共施設の維持費だ。震災に伴って人口が減ったのに多くで公共施設の規模が膨らんでおり、将来の財政負担を減らそうと職員削減に取り組む自治体も出始めている・・・

宅地や公共施設の復旧については、多くの町村で、当初の計画を途中で見直して、縮小しました。住民意向調査をすると、時間とともに希望者が減ったのです。宅地での戸建て住宅の代わりに、公営住宅を選ぶ人も増えました。公共ホールなども、将来の人口減少や維持管理費の増加を見越して、規模を縮小した市町村も多いです。しかし、公営住宅が一気に増えたのは、必然だったのです。

入居者は高齢者が多く、その方々がお亡くなりになると、新しい入居者いないと、空き家が増えます。これも予想されたことです。良い対応策はありませんでした。

統計不正問題、官僚の責任

厚生労働省の統計不正が、問題になっています。まだ究明途中なので、意見を書くことは難しいのですが。現時点で気になったことを、書いてみます。
その一つは、政治家の責任と官僚の責任です。

2月18日の日経新聞の世論調査結果では、厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題で最も責任があるのは誰かを聞くと、
「これまでの厚生労働大臣」が34%、「厚生労働省の官僚」が31%でした。
厚生労働省の最高責任者は大臣ですから、大臣に責任があるという回答も、わからなくはありません。
しかし、統計調査の実施は、官僚たち事務方が責任を持って行うべきことです。統計の対象や手法について大きな見直しを行う際は、大臣らによる判断が必要な場合もあるでしょうが。

かつてなら、官僚の責任範囲はもっと大きかったと思います。大臣ら政治家の責任範囲が、近年広がってきたようです。
例えば、2018年に問題になった財務省での文書破棄問題も、大臣が記者会見で説明していましたが、事務方が説明し責任を取るべき問題でしょう。大臣が、局長以下の文書管理や文書の扱いを細かく知っているはずもなく、またそんなことまで管理していたら重要な仕事ができません。
近年の「政治主導」は良いことと考えていますが、事務的なことまで大臣に責任を持たせることは、かえって政治主導が効果的でなくなる恐れがあります。この項続く