3月17日の朝日新聞「平成経済」、鈴木敏文・元セブン&アイHD会長のインタビュー「買い手が強い時代、価格より質」から。
・・・平成は経済が沈滞した時代だとよく言われます。しかし、これは平成に始まった話ではなく、昭和の終わりから続いてきたと考えるべきだと思います。戦後の経済成長で社会が豊かになると、消費者はあわてて物を買わなくてもいい時代になりました。売り手が強い時代から、買い手が強い時代に変わったのです。
戦後、米国の「チェーンストア理論」が日本の流通業界を席巻しました。小売企業は大量に商品を仕入れ、他社より安い価格で売るのが勝負で、商品を店頭に山のように積んでおけば買ってもらえるという発想です。ところが、次第にこれでは売れなくなり、流通業界の中でも販売が堅調だったイトーヨーカ堂ですら、1982年度に初めて経常利益が減益になりました・・・
次のような発言も。
・・・常識を打ち破る発想が必要なのです。経営者が自分で考え抜いて決めるべきです。新規事業を始める際、コンサルタント会社に調査を依頼する企業がありますが、感心しません。コンサルは過去のデータに基づいて助言をしますから、物まねになってしまいます。最近、ビッグデータを使った経営が流行していますが、私は、大きな間違いを起こすと思います。過去のデータを使っても、次の時代の流れは読めません・・・