厚生労働省の毎月勤労統計調査が定めたとおりの調査をしていなかったことが、大きな問題になっています。
1月27日の日経新聞「統計不信 識者に聞く」、八代尚宏・昭和女子大特命教授の「合理化の発想なく放置」から。
・・・現行ルールでは、毎勤統計は500人以上の全事業所を調査しなければならないと定めている。法律違反は問題だが、なぜ全件調査をしなければならないのか。実態をみてルールを変えるべきだった。公務員は定員が減らされ、一方でやるべきことは増えている。過去のやり方が通用しなければ、正しく新しいやり方を考えるのが行政改革だ・・・
・・・専門職のため、組織の風通しが悪くなった面もあると思う。ミスがあるという前提で、あったらどう対応するかという雰囲気をつくらないと、ミスを隠蔽する組織になってしまう・・・
・・・大事なのは透明性だ。一部の統計を民間に任せてもよいのではないか。すべての統計を国がやる必要は必ずしもない。民間が主に手掛け、その過程でチェック機能を働かせる仕組みをつくればよいだろう。公務員は公務員にしかできないことに専念して、民間でもできることは民間に任せていくことが基本だ・・・
・・・専門家を民間から招いて人事交流を活発にするのも手だろう。統計の実務はプロが来ればすぐに改革ができる。米国では公務員は給与が低くて敬遠されがちだが、政府で働くのはキャリア形成になると数年は働く人は多い。日本でもこういう形をつくれればよい・・・