年別アーカイブ:2018年

慶應大学、地方自治論Ⅰ第9回目

2018年6月15日   岡本全勝

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅰの第9回目の授業でした。
先週の授業で、学生からいくつも鋭い質問をもらったので、その回答から。

「国が法律で定めるのに、国と地方は対等になるのですか」「国地方係争処理委員会は、国の機関で、委員も国が任命するのに、中立的な判断ができるのですか」
疑問は、もっともです。しかし日本国憲法は、国会を国権の最高機関と定めています。地方自治も、その範囲内です。
2000年の分権改革も、国の組織である「分権推進委員会」が案を作り、法律で定めました。なぜ国の機関がそして法律が、国の権限をそいで、自治体に権限を与える改革を進めたか。ここが、改革のミソです。また、係争処理委員会の委員の任命も、国会の同意が必要となっています。さらなる説明は、授業でお話ししたので、省略します。

国と地方の関係、分権改革の話は、ここまで。次に、自治体の仕組みに入りました。
教科書には出てこない実態を、資料を基に説明しました。

日経新聞夕刊コラム第23回

2018年6月14日   岡本全勝

日経新聞夕刊コラム第21回「鷹の目と象の時間」が載りました。
「鷹の目と蟻の目」、あるいは「鳥の目と虫の目」は皆さんご存じですよね。視野の広さです。拙著『明るい公務員講座 仕事の達人編』でも、わかりやすい挿絵を描いてもらいました(第3章扉)。

長期的な視野と短期的な視野を、どのような比喩で例えるか。なかなか良い言葉が見つかりません。そこでお借りしたのが、本川達雄著『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学』 (中公新書、1992年)です。
初めてこの本を読んだ時は、驚きました。へ~、そうなっているんだと。もっとも、人間はこの算式に、ぴったりとは当てはまらないようですが。

このコラムにも書きましたが、鼠も象もお互いに、自分以外の「時間の進み方」は知らないのでしょうね。人間だけが、このように他の生物の「時間」を計測して、比較することができます。
もっとも、私たち個人個人は、自分の「時間」でしか物事を考えられないことが多いのです。だから、今回のようなコラムが成り立つのですが。
少し違いますが、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という金言があります。先達の経験と智恵を、どのように活用するか。ここに、できる人とできない人の差が出ます。

官僚機構改善論2―バックオフィスの管理

2018年6月14日   岡本全勝

官僚機構改善論1―バックオフィスの重要性の続きです。

これまでは、バックオフィス=事務・組織管理部門は、前線を支える後方部隊と考えられ、日が当たりませんでした。また、誰でもやれる、難しくない仕事と思われていました。
ところが、技術の進歩と社会の変化で、従来通りでは対応しきれなくなりました。

平成になってからでも、次のようなことが大きな課題になりました。
情報公開、個人情報保護、公文書管理、IT技術の発達とパソコンの配備、情報管理、サイバー攻撃対応、カウンターインテリジェンス、セクハラやパワハラ対応、倫理法、コンプライアンス、リスク管理、災害対応・・・。
私が公務員になった頃は、そんなに問題にならなかったことです。その後、これらの課題が次々に出て、また事件や事故が起きて、その都度個別に対応しました。研修なども増えました。

これらの問題を大きく2つに分けると、「情報の取り扱いの問題」と「職員管理の問題」です。

このうち、「情報の取り扱いの問題」は、IT技術の発達への対応と、情報の管理が重要になりました。パソコンやコンピュータが導入され、職員は試行錯誤しながら使っています。
まず、組織から見て、コンピュータ化は効率的に行われているか。どうもそうでないようです。旅費や給与計算、電子決済、電子申請など、必ずしも効率になっていないようです。
他方で、職員については、これらの「職員として知っておく常識」は、系統だった教育は行われているか。職員が読んでおくべき教科書は、ないようです。
これは、新規採用職員だけでなく、管理職も中堅職員も必要なのです。なぜなら、次々と新しい課題と仕組みが導入されて、年配者もその都度教えてもらって身につけています。若い人の方が詳しいことも多いのです。

もう一つは、「職員管理の問題」です。ここで言う職員管理とは、部下の教育と管理、心の病の職員への対応、セクハラやパワハラ対応、ワークライフバランス、コンプライアンスなどです。これらも、組織的・系統立てた教育は十分ではないと思います。
昔は、そんなに気にすることはなかったのですが。
これらについても、系統だった研修と、教科書が必要です。「官僚機構改善論3」へ。

マチリク、町ぐるみで採用する

2018年6月13日   岡本全勝

地方の中小企業は、職員の新規採用が難しいです。都会に出た学生たちは、戻って来ません。学生にしても、中小企業だと不安です。先輩はいない、同期もいない。そして、せっかく勤めても、3年以内に多くの職員が辞めてしまいます。それを解決する試みがされています。

かつて、このホームページでも紹介しました。「マチリク」です。
単に、求人と求職を紹介するのではなく、定着してもらうために、新採職員と会社の双方を支援します。
マチリクのホームページが新しくなり、私の推薦文も載りました。ご覧ください。

これまで、宮城県気仙沼市で実績を上げてきました。しかし、全国各地で期待される事業です。
なぜ、今まで、このようなことに気がつかなかったのでしょうね。ハローワークは、職業紹介をすれば済みと思っていたのでしょうか。地域の商工会議所や市町村役場も、他人ごとだったのでしょうね。やってくれているリクルートに、感謝です。

官僚機構改善論1―バックオフィスの重要性

2018年6月13日   岡本全勝

先日、日経新聞夕刊コラムに「内閣官僚」を書きました。また、5月23日の毎日新聞にインタビュー「現場の声 政策に生かせ」が載りました。そのほか、官僚の問題について、いくつかの取材も受けました。
そこで考えたことを整理して、簡単に書いておきます。私の基本的考え方は、官僚の劣化と言われる事象の背景にあるもの、構造的な問題です。
端的に言えば、社会が変わったのに、官僚と官僚機構が変革に遅れているということです。「バックオフィスの管理」「人事政策」「官僚のあり方論」に分けて書きます。

まず、バックオフィスの管理についてです。
組織を管理する際に、2つの部分に分けて考えます。
会社では、営業系と総務系があります。前者は、製品やサービスを作り、売ることを任務とする人たちです。後者は、その人たちを支える、会計、人事、庶務の人たちです。フロントと、バックオフィスです。
役所も同じです。政策を考え、実行する原局と、人事や予算で支える官房です。
後者は、「事務・組織管理部門」といったら良いでしょうか。
霞が関の各省あるいは全府省を通して、おろそかになっていることがあります。この事務・組織管理部門=バックオフィスの管理です。
会社にしろ役所にしろ、製品を売ったり、政策を考える部局が「花形」で、バックオフィスはそれを支える「縁の下の力持ち」です。しかし、営業系が活躍するためには、縁の下系がしっかりと支えなければなりません。

これまでは、後者については、系統だった職員育成や組織運営を考えることは少なかったようです。前例に従って処理する。新しい機械がでたらそれを取り込む、新しい課題が出たらその都度対処する。職員も、先輩たちのやり方を見て学ぶ。という「古典的な職場作法」でやってきました。「官僚機構改善論2」へ。