年別アーカイブ:2018年

『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』2

2018年2月6日   岡本全勝

山口周著『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』の続きです。

研究の世界でも、分析と論理で答えを出す場合ばかりではありません。自然科学の場合は、分析と論理を積み上げることも多いでしょう。しかし、「発見」は、まずは直感で当たりをつけ、それを分析、実験によって裏付ける作業になります。社会科学の場合は、もっとそうです。直感によって、論理を見いだすことが多いでしょう。アンケート調査結果の分析だけが、社会科学ではありません。

私たちの職場での仕事の場合は、さらにそうです。その場その場の判断は、経験と勘によって行われます。のんびり時間をかけて、分析しているようなものではないのです。
また、考慮すべき変数がたくさんあり、それらの各変数の重要度も、人によって違ってきます。しばしば判断結果を説明する際に、「総合的に勘案して」という言葉が使われるわけです。
役所の仕事の重要なものに、予算編成があります。かつて、PPBSやゼロベースなどの「科学的予算査定」が試みられましたが、成功していません。予算が使われたあとに、どのような効果があったかなどの分析は、意味がありますが。

中学生の時(昭和40年代)に、「直感サバンナ」という言葉が、はやったことを思い出しました。事の起こりは、因数分解の問題だと思います。xx-5x+6=(x-2)(x-3)と分解するとき、2とか3という数字を勘で数字を当ててみて、正解かどうかを試してみます。「数学はもっと論理的に積み重ねて正解を出すもの」と思っていたのです。先生に「どのようにして、答えにたどり着くのですか」聞いたら、「直感だ」と答えられました。
当時、マツダの乗用車にサバンナという車種があって、その宣伝文句が「直感サバンナ」でした。それをもじったのです。「へえ、数学でも、論理的積み重ねでないことがあるんだ」と妙に納得しました。
この項続く

ダメな会議を変える

2018年2月5日   岡本全勝

1月30日の日経新聞夕刊「Bizワザ」は「ダメ会議 準備で変える」でした。参考になる工夫が載っています。
日本能率協会の石川忠央さんの助言も、有効です。
・しきり役が重要
・会議の必要性を確認することから始める
・結論を曖昧にしてはいけない

私が「明るい公務員講座中級編 職場の無駄」でお教えした「会議術」と共通することが多いです。

紀田順一郎『蔵書一代』

2018年2月5日   岡本全勝

紀田順一郎著『蔵書一代』(2017年、松籟社)を読みました。このホームページでも、何度か、増えた蔵書に困っている話、その先達の話を紹介しました。
紀田さんの場合は、3万冊です。さぞや、悲しかったことと想像します。去年、100冊整理しただけで騒いでいる私は、比較も出来ません。私の場合は、蔵書家、愛書家ではなく、ただ単に「捨てられない」だけです。

しかし、本書は、想像していた内容とは、少し違います。序章と第1章は、蔵書を整理し別れる話なのですが、第2章からは、日本の戦前戦後の古本や蔵書家から見た「世相史」なのです。
なぜ円本が売れたか、その後売れなくなったか。和書の盛衰。日本文学全集、世界文学全集などの全集ものの盛衰。さらに、日本文学の盛衰。蔵書家の変化など。
古書の流通から見た、日本社会史であり、社会の分析です。

戦前戦後の庶民や大衆が、どのように活字文化を消費したか。多くの全集や百科事典は、お客に見せる「調度品」だったことも多いでしょう。そのような「使用例」も含めて、大衆文化の一面を表しています。
歴史書は、政治や経済の出来事、それも中央政治を中心に記述しますが、他方で大衆の文化はなおざりにされがちです。
「思想」についてもです。ヨーロッパの哲学や思想は輸入され、研究者が本を書きますが、それを消費するのはごく一部の国民です。大衆は、それとは違った世界で生きています。
それは、書物だけでなく、映画、スポーツ、芸能、娯楽、飲食、旅行なども同じです。
日本の大衆文化研究は、欧米の研究より一段下とみられているのでしょうか。それとも、外国の学問を輸入する方が、日本の社会を分析するより労力が少なくてすむからでしょうか。

目次をつけておきます。
序章 “永訣の朝”
第1章 文化的変容と個人蔵書の受難
第2章 日本人の蔵書志向
第3章 蔵書を守った人々
第4章 蔵書維持の困難性

広辞苑改訂

2018年2月4日   岡本全勝

「広辞苑」が10年ぶりに改訂され、第7版が出ました。広辞苑は、国民的辞典と呼ばれるほど、なじみの深いものです。改訂が、ニュースで取り上げられるほどです。私も、愛用しました。
インターネットでの検索が便利になり、売り上げ部数は半分ほどになっているようです。分厚いので、机の上に置いておくには場所を取るのです。職場では、同じ岩波書店の「国語辞典」を使っています。

広辞苑に載ることが、言葉としての一つの「認知」です。
職員の文章に見慣れない言葉が使われていると、「これって、広辞苑に載っているか? いないのなら、他の言葉に言い換えるか、補足説明を書いてくれ」と指導します。

今回は、約1万項目を追加したとのこと。新語が、社会を反映しています。次のような言葉が、新たに載ったそうです。
東日本大震災、安全神話、限界集落、モラルハラスメント。
どのような事象が生まれたかが、よくわかります。他方で、「上から目線」「立ち位置」などは、新たに生まれた事象ではなく、私たちの認識が変わったということですね。

烏頭尾精先生

2018年2月4日   岡本全勝

烏頭尾精先生は、日本画家です。
私の絵の先生でした。先生は、私の生家の近くにお住まいです。私が小学生の時、日曜日に子供たちを集めて、絵を教えてくださっていたのです。町内の集会所に行って、思い思いに絵を描きました。
こんな著名な先生に習っていながら、私にはその方の才能はありませんでした。今はもっぱら見るだけです。
先生は当時は、軍鶏を飼っておられて、その絵を描いておられたと記憶しています。その後、大和、飛鳥の風景を「印象的に」書かれるようになりました。

先日、先生の画集を送っていただき、子どもの頃を思い出しました。ご夫婦で、明日香村でご健在です。