それぞれの国のかたち

12月7日の朝日新聞オピニオン欄、佐伯啓思先生の「道徳観と切り離された報酬額 「常識」あっての市場競争」に次のような発言が載っています。

・・・倫理観や道徳観念は国や地域によって少しずつ異なっている。一般論としていえば、米国では、自由競争、自己責任、法の尊重(逆にいえば法に触れなければよい)、能力主義、数値主義などが大きな価値を持って受け入れられる。しかし、日本ではそうではない。協調性やある程度の平等性、相互的な信頼性などが価値になる。

だが米国流の価値をグローバル・スタンダードとみなした時、グローバル競争は、日本の価値観や道徳観とは必ずしも合致しなくなる。しかしそれでよいではないか。もともとグローバル・スタンダードなどという確かなものはないのだ。あるのは、それぞれの国の社会に堆積(たいせき)された価値観、つまり「常識」であり、そこには明示はされないものの、緩やかな道徳観念がある。企業も市場経済も、この「われわれの常識」に基づいているはずなのである・・・

そうですね。アメリカは、先住民を追い出して、新しく町をつくりました。その際に、自己責任、自由競争、契約などが、共通認識になりました。自治体も、企業をつくる時と同様に、住民たちが規則を定めてつくったのです。連邦政府もそうです。大統領と訳しますが、原語はPresidentで、社長や会長と同じです。参考「契約社会と帰属社会2」

私は、このような各国の社会を支える国民の共通認識を「この国のかたち」と呼んでいます。この言葉は、司馬遼太郎さんの言葉ですが、なかなかに奥深い言葉です。憲法にも法律にも書かれていないのですが、それぞれの国(国民の多く)が持っている共通観念です。国柄とも呼んで良いでしょう。
かつては、文化人類学などで、各国の社会の特色が比較されました。「タテ社会の人間関係」もその代表です。特に西欧と比べた際の日本の特殊性が取り上げられました。日本文化論です。ムラ社会論や日本軍の特殊性もその列にいます。

道徳のほかに、宗教や習俗なども、この国のかたちを支えています。公共政策を考える際に、これは大きな要素だと考えています。社会的共通資本、関係資本であり、文化資本です。
この国のかたちも、時代とともに変わります。そして、自然体に放置するのではなく、良い方向に持って行くことも、私たちの責任です。
国と同様に、会社には社風があり、地域や家庭にもそれぞれに気質があります。

東京電力、廃炉資料館

先日、東京電力の「廃炉資料館」に行ってきました。福島県富岡町の国道6号線沿いにある展示施設です。11月30日に開館しました。
2011年3月の第一原発事故の状況と、現在進められている廃炉作業の状況を展示しています。これは、わかりやすいです。事故当時の様子が、映像や画像で再現されています。第一原発を視察しても、事故発生当時のことはわかりませんから。
当時を知る人も、事故の概要は知らないでしょうし、若い人はなおさらです。
また、説明の中で、東京電力が事故を起こしたことの反省と、大きな被害を与えたことについて、率直にお詫びをしています。企業の広報施設としては異例ですが、納得できます。

かつて、原子力発電所を宣伝するための施設だったものを、改装しました。
機会があれば、ぜひご覧ください。映像などをすべて見ると、2時間かかるそうです。少なくとも30分以上は必要です。
インターネットで、その要点を見ることができれば良いのですが、まだ開館したばかりで、準備ができていません。充実されることを期待しています。

このほかに、原発事故や放射線、除染などについて説明している施設として、次のようなものがあります。
・福島県環境創造センター交流棟「コミュタン福島」。放射線やふくしまの環境の現状を、展示しています。
・特定廃棄物埋立情報館「リプルンふくしま」。放射性物質に汚染されたごみの埋立処分について、わかりやすく学べる情報館です。

今年の秋は何をしたか、去年の今頃は、

先日、「時間が経つのが早くて困る」と、いつものセリフを書きました。
で、どのように時間が経っているのか考えるために、先週と先月、さらにこの秋は何をしたのか、手帳を見てみました。すると、結構いろんなことをしているのです。

毎週前半の福島勤務のほかの本業、金曜日の慶應大学での授業。そのほか、数回の講演会、その合間を縫って「明るい公務員講座」第3巻の加筆。そして、毎晩のように続く異業種交流会。休日は原稿書きのほか、孫の相手、新宿紀伊國屋までの散歩、展覧会巡り。このホームページの加筆も、入れておきましょう。毎晩、時間がかかっているのです。

さらに、去年の今頃は何をしていたか。去年の手帳も読み返しました。
今頃は、日経新聞夕刊コラム連載の原稿を準備していたのでした。すっかり忘れていました。
その頃のことです。いくつもコラムの案は持っていたのですが、「こんな内容で良いのだろうか」と悩み、また先輩から「25回は長いので、途中で息切れするよ」と助言をもらってテーマを並べていたのです。そして、1月4日からの連載が始まる前に、結構な分量を書き上げておきました。

もう、1年が経つのですね。その間に、いろんな本も読んだはずなのですが、何を読んだか忘れています。すごい忘却力です。
毎日、新しいことが、脳に書き込まれます。その際に、もう私の脳は記憶容量が満杯で、過去の記憶の上に上書きされるのでしょう。日々忙しくしていると、そして次々と別のことに取り組んでいる、昨日のことをすぐに忘れるのです。

慶應大学、地方自治論Ⅱ第10回目

今日14日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第10回目の授業。
いつものように、前回の授業で学生に書いてもらった質問に答えました。なかなか鋭い点をついてくる感想や質問があります。このような学生は、良い評価を与えたいし、世の中に出ても出世するでしょう。

白紙の出席カードもありますが、まあ、出席するだけでも良しとしましょう。でも、せっかく90分を使っているのですから、出席したら全力で授業に取り組んで欲しいですね。のんべんだらりと90分を過ごすのは、もったいないです。
壇上から話しかけている際に、うなずく学生やなど、目の輝きで学生たちの集中度がわかります。もちろん、学生にとってつまらない授業をしていては、学生の目も腐ってくるでしょうが。
「代返」と思われるカードもありますが、そこは大人の対応ということにします。もっとも、私にばれるようでは、実社会ではダメでしょうね(笑い)。

今日は、交付税制度のおさらいを終えたあと、地方債の説明でした。「本を読んでもよくわからなかった地方債が、よくわかりました」という意見がありました。うれしいですね。

東京名所、東京キャラクターストリート

東京キャラクターストリート」ってご存じですか。東京駅八重洲北口地下一階にある、お店が並んでいる通りです。リンク先のホームページを見て頂くとわかります。

テレビ局のマスコットキャラクター(NHKのどーもくんなど)や、ポケモン、ハローキティ、リラックマ、プリキュアなどなど。子供や若い人が見たら、絶対に喜ぶお店です。それらが、一か所に並んでいるのです。すごい数です。子供さんを連れて行ったら、数時間は動かないでしょうね、笑い。

私は、日本橋や八重洲で異業種交流会に出席したあと、丸ノ内線に乗るために、東京駅の地下通路を通るのですが、その途中に、この通りがあります。大人でも、楽しめますよ。東京の新名所の一つです。