津波被災地では、まちの復興が進んでいます。視察をして、気になることがあります。
町中の商店が、コンビニばかり目立つのです。八百屋や肉屋、荒物屋といった個人商店や専門店は、見当たりません。
関係者に聞くと、コンビニだと、店主は品揃えや仕入れに悩まなくてもすむのです。何万種類にも上る商品が、バーコードを使ってコンピュータで管理され、品薄になると配送センターから補充されます。次々と新商品が棚に並べられ、売れない商品は撤去されます。
極論すると、店主はその仕組みの管理人であり、アルバイト店員の管理人です。もちろん、いろんなノウハウや悩みはあるのでしょうが。
個人営業の店だと、どのような品物をどれだけ仕入れるかを、悩まなければならないのに比べ、その違いは大きいです。個人商店が、コンビニのように新鮮なおにぎりやサンドイッチを、欠品なく並べることは難しいでしょう。また、その背景には、問屋さんの機能の縮小もあるのでしょう。
消費者にとっては、品揃えの多いコンビニやスーパーマーケットが便利です。
個人商店が減り、コンビニやスーパーマーケットに代わられる。この傾向は、被災地だけでなく、日本全国で進んでいるのでしょうね。
私は道路を走っている車の窓から見ているので、道路脇に立っている目立つ3種類(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート)の看板を見ているから、なおさらそう思うのかも知れません。
なお、10月31日の朝日新聞夕刊「あのときそれから」は、1974年の「大店法施行」でした。中心市街地の商店街衰退を解説しています。当初は大型店対中小小売業だったのですが、その後は郊外の大型店と中心市街地の構図になりました。
そして、町の中心が空洞化し、車を持っていない人には買い物が不便な町になりました。さらに、困るのは飲食店です。飲んだら運転してはいけないのですから。
この点では、日本の多くの都市は、街づくりに失敗しました。