ピンピンコロリとはいかない

10月18日の朝日新聞オピニオン欄「最期は好きにさせてよ」。

上野千鶴子さん(社会学者)の発言から。
・・・現場を歩いてきた経験から断言しますが、施設や病院に進んで入りたいお年寄りはいません。お年寄りは住み慣れた「おうち」が好き。でもそれは「家族と一緒にいたい」という意味と同じではありません。自分以外に誰もいない「おうち」でもおうちが好き。目をつぶっていても、電灯スイッチの位置がわかるとか、住まいとは身体の延長のようなものです。
施設を選ぶお年寄りは、子どもに迷惑をかけたくないという理由から。親を施設に入れる子どもは自分の「安心のため」。親の幸せのためではありません・・・
・・・いま、独居高齢者の数が増えています。2017年の厚生労働省の調査では65歳以上の高齢者世帯のうち、独居世帯は26・4%、独居予備軍の夫婦世帯は32・5%です。以前は死別してひとりになった親を子ども世帯が呼び寄せて同居するケースが多かったですが、独居になっても世帯分離が定着してきました。それ以前から世帯内での家計分離が起きていました。この変化のスピードは私の予想を超えています。
理由は単純です。「独居」はやってみると親にとっても子にとってもラクなことがわかってきたから・・・

遠矢純一郎さん(内科医)の発言から。
・・・ピンピンコロリが実現できるのは、せいぜい1割ほどの方たち。ほとんどの方は様々な病気とつき合いながら、老いていくのが現実です。だれもが「我がこと」として考えないと間に合いません。急に脳卒中になる可能性だって、あります。
私も鹿児島にいる母を自宅で看取りましたが、いざ当事者になると知らないことだらけでした。必要な窓口がどこにあるかを含め、戸惑いました。慌てず、望ましい最期を迎えるために、家族と意思を早めに話し合うことが大切です・・・