「リーマン・ショックから10年2」の続きです。当時、麻生総理が国際的にリーダーシップを発揮したことに、もう一つ、中国への働きかけがあります。
ちょうどその時期に、北京で国際会議があり、胡錦濤・国家主席や温家宝・首相と会談しました。会食の際、麻生総理と胡主席が熱心に話しておられました。また、温家宝首相とも、話し込まれました。内容は、この経済危機にどのように対応するかでした。
当時、日本は世界第2位、中国は第3位の経済大国でした。アメリカやヨーロッパが機敏な対応ができないので、日本と中国が財政出動して、景気後退を食い止めようということです。
中国はその後、大規模な景気刺激策をとるとともに、日本と同様に1000億ドルを国際通貨基金(IMF)に融資することを決めました。
100年に一度と言われる国際金融・経済危機。それに対し、各国が協力して封じ込める対策を打つ。
1929年の大恐慌の際は、各国が自国の利益優先で囲い込みに走りました。それが、経済危機をさらに深くしました。今回は、その経験を踏まえて、各国が協調し、危機を押さえ込んだのです。
その現場に立ち会い、政治の役割を認識する、貴重な経験でした。