漢文の識者である肝冷齋は、難しい中国古典を解説してくれるのですが、時に難しすぎて、あるいは妖怪変化が多く、私の理解を超えることがあります。
たまには、わかりやすい教訓も書いてくれます。
「包容力は、努力で具わる」
・・・明初の名官僚で、その有能と誠実を以て、史上屈指に血なまぐさいこの時代に何度も失脚しながら復職し、戸部尚書を通算三十年ぐらい務めた夏原吉は、
徳量閎厚、人莫能及。
徳量閎厚にして、人よく及ぶ莫し。
包容力が広く、厚く、誰も敵わなかった。
と言われる。「徳量」はとりあえず「包容力」と訳しておきますが、要するに人を容れる「器量」のことです。
あるひと、問うて曰く、
量可学乎。
量は学ぶべきか。
「包容力というのは、後天的な努力で具わるものですか」
夏は答えた・・・