社会はブラウン運動3 構成員の純度

「社会はブラウン運動」の第3回です。
前回「個人の動きもばらばら」で述べたように、各個人は、趣味も価値観も人それぞれです。それに従ってばらばらに動く個人を、政治や学校や会社は、同じ方向に動かそうとします。力ずく(強制)、計算(お金の力)、魅力(信仰や文化)によってです。

組織になると、共通の目的を持った人たちが集まっているので、その目的に向かって行動します。もっとも、この場合も参加者の「純度」には、ばらつきがあります。
例えば、大学生を勉強のために大学に入っていると考えると、間違います。勉強が好き で授業に出ている人と、勉強が好きだけど独学を好む人。さらには、勉強は嫌い だけど大学に籍を置いて、アルバイトに励む人、運動会に青春を捧げる人、寝ている人・・・。
みんなが、大学の授業に出席して勉学に励むとは限りません。それぞれに、動機が違うのです。

会社でも役所でも、みんながみんな、仕事に熱心だとは限りません。「職場にすべてを捧げる」という人もいれば、「給料さえもらえれば」という人もいます。「仕事をしたいが、私のやりたい仕事をさせてもらえない」という人や「介護と子育てが大変で・・・」という人もいます。「昨夜飲み過ぎて」という人も。
上司は時々、これを勘違いします。「なぜ、職員は出来が悪いのか」と。みんなが、課長のように仕事熱心ではありません。その中で仕事熱心だから、課長になったのです。全員が課長にはならない、なれないのです。

社会になると、政治指導者が国民を指導して、ある方向に持って行こうとします。また、世論なるものができて、ある方向に進めようとします。しかし、ある目的で集まっている集団ですら不純物を含むのですから、社会になるともっと純度は落ちます。
それぞれが、自らの動機に従って「欲望」を実現しようと活動します。その際には、政治指導者の意図に沿っている場合もあれば、沿ったふりをしている場合や、反する動きをする場合もあります。この項続く

インフラ企業の災害対応

8月10日の毎日新聞が、「インフラ企業の災害対応」を載せていました。
・・・大阪北部地震や西日本を襲った豪雨など、各地で大規模な災害が相次いでいる。災害時は生活必需品のほか、電気やガス、ガソリンなどの供給網をいかに確保するかが重要な課題になる。ライフラインを担う企業は災害にどう備えているのかを探った・・・

そして、コンビニ、ガス・電力、石油・ガソリンについて解説されています。最初に、コンビニが取り上げられています。
ライフラインといえば、電気、ガス、水道と電話が思い浮かぶでしょう。東日本大震災の際も、社会の変化を感じました。
電気と水道は、暮らしには必須です。ただし、飲み水なら、ペットボトルで運べます。困るのが下水道です。これは持ち運びができない機能です。
ガスは、地方部ではプロパンガスなので、ボンベで運べました。都市ガスは、管路が復旧しないと使えません。
新しい必需品は、携帯電話とコンビニと宅配便です。携帯電話のためには、基地局と充電器が必要です。携帯電話が無傷でも使えません。
コンビニと宅配便は、いまや暮らしになくてはならないサービスです。
そして、ガソリンスタンドです。車がないと生活できない地域も多いのです。

記事には、東日本大震災と今回の西日本豪雨災害の際の、停電戸数、ガス供給停止戸数、コンビニの営業停止店舗数などが表になって載っています。

税金は投資、スウェーデン

8月11日の朝日新聞経済面、伊藤裕香子記者の「社会へ投資、税金に信頼 高負担のスウェーデンを訪ねた」から。
・・・民間調査機関Sifoの官庁ごとの信頼度調査で、国税庁の信頼度指数(2018年)は49だった。政府機関の平均値30を上回る。「信頼される役所」の上位の常連だ。
調査担当のソニア・フォン・ローコフさんは「税金を納めることで社会全体がうまく機能するという安心感が、広く国民の側にあるのでしょう」と話す。
大半の人が所得税を負担し、日本の消費税にあたる付加価値税の税率は25%、食品なども12%で、日本よりはるかに税負担は高い。
一方、教育費や20歳未満の医療費は基本無料で、高齢者への手当や有給の育児休暇なども充実する。

安心感は、本当なのか?
ストックホルム市とその近郊で会った人たちに「税金とは何ですか」と、ひたすら尋ねてみた。応じてくれた43人の半数以上の答えは、「投資」だった。「社会に対する補助」「将来への貯蓄」など表現は違っても、趣旨は同じだ。
大学で事務の仕事をするバレンティンさん(30)は「税金は社会に対する投資です。国や自治体は問題がゼロではないけれど、信頼はある。予算は適切に使うし、使い込みなんて全くないと思う」と話した・・・

・・・人口1012万人のスウェーデンは、総選挙の投票率が毎回80%を超え、政治への信頼も高い。憲法にあたる統治組織法には「公権力はすべての人々の平等な価値と個人の自由及び尊厳を前提として、行使されなければならない」と記されている。この理念を支える原資として、税金がある・・・

税金を「お上に取られるもの」と考えるのか、「社会を機能させる投資」「私たちの生活を支える会費」と捉えるのか。国民の国家や行政に対する見方、信頼度によって異なるのでしょう。政府を「彼ら」と捉え批判するのか、「私たち」と考えて参加するのかという意識の違いも、その基礎にあるでしょう。

原発事故被災者向けの広報紙

内閣府の原子力災害対策本部 原子力被災者生活支援チームが、原発事故被災者向けの広報紙「ふれあいニュースレター」を発行しています。
約5万部を、関係12市町村の広報物に同封するなど、避難者に届けています。
被災市町村の復興の具体状況がわかる、簡単な資料です。これまでは毎月発行していましたが、今回からは3か月に1回の季刊誌になります。
2018年秋号も、各市町村での商店の再開など、たくさんのニュースが載っています。ご覧ください。

東日本大震災、インフラ復旧状況

8月10日に、東日本大震災での公共インフラの復旧状況(平成29年度末)を公表しました。
計画と実績を毎年取りまとめて、管理しています。また公表することで、関係者の方にわかりやすいようにしています。
平成29年度はおおむね計画通りに工事が進みましたが、一部では遅れが出ています。主な原因は、地元での調整の遅れです。

福島県内の原発事故被災地は、状況が異なるので、別にまとめています。
福島12市町村における公共インフラ復旧の工程表