小峰隆夫教授「なぜ経済出動は繰り返されるのか」

4月28日の日経新聞「経済論壇から」で、小峰 隆夫・大正大学教授の「なぜ財政出動は繰 り返されるのか」(週刊東洋経済4月28日号)が紹介されていました。詳しくは原文をお読みください。

・・・私が長い間抱き続けている疑問の一つは、日本ではなぜこれほど経済対策 (景気対策)と称する財政出動が繰り返されるのかということだ。
ざっと計算したところ、1990年以降、昨年までの経済対策の事業規模合計は優に 400兆円を超える。これには金融措置など水増し的な部分も含まれており、すべ て政府の歳出増加になったわけではないが、「それだけのおカネを使えばもっといろいろなことができたのではないか」「これがなければ現在の財政赤字はそうとう減っていたはずだ」と考えてしまう。政府はかなり巨額の機会費用を払って経済対策を繰り返してきたといえる。
先進諸国の中で、これほど頻繁に、かつ巨額の経済対策を実行してきた国はない・・・

その理由の一つとして、「お上依存型」の「社会主義的経済観」が残っているのではないかと指摘しておられます。
経済がうまくいかないと、「政府が対策を講じるべきだ」と期待 し、「政府は政策によって経済をコントロールできる度合いが大きい」と考えすぎているのではないか。
また、経済学者の意見が反映されていないのではないか、とも。
正統的な経済学では、財政で景気変動を平準化するのは非常時に限り、平時には金融政策でこれを行うべきだと考える。財政政策で成長率を引き上げることはできるが、その効果は一時的なものにとどまるから、持続的な成長は実現できない。

仕事の仕方、回遊魚と根魚

今日は、若手職員の質問に答えて、毛色の違ったお話をしましょう。

魚の生態で、回遊魚と根魚(ねざかな)の違いがあります。
回遊魚は、水温の変化やエサを追いかけて、大洋を移動します。マグロ、カツオ、サンマが代表例です。他方、根魚は、海底の岩礁や海草の間などに棲み、広範囲には動き回りません。磯釣りの対象です。根付き魚とも呼びます。

人の仕事ぶりでも、この対比は使えます。精力的に動き回る人と、じっとしている人です。
時と場合によりますが、動かなければならないときに、じっとしている人、遅い人は困ります。「不動明王」「鎌倉の大仏さん」と呼ばれます。情報を集める、人脈を広げるには、回遊魚でなければなりません。
もっとも、ただ動き回っているだけでは困ります。「あいつは落ち着きがないなあ」です。また、帰るべき本拠地がなく、動き回っているだけでも困ります。専門分野を持ちながら、回遊するのが良いのでしょう。この点は、『明るい公務員講座 仕事の達人編』でも、強調しました。

日頃の生活にも、例えることができます。休日に家で寝ているか、出かけるか。一度しかない人生なら、いろいろと見たいですよね。

ところで、マグロは「海中では口と鰓蓋を開けて遊泳し、ここを通り抜ける海水で呼吸する。泳ぎを止めると窒息するため、たとえ睡眠時でも停まらない」(ウィキペディア)のだそうです。これは、困ったものです。

ゲーム依存症という病気

5月5日の朝日新聞に、「学校行かずゲーム16時間」(1面)、「ゲーム依存症は病気」(2面)という、衝撃的な記事が載っていました。詳しくは本文を読んでいただくとして。
健康な日常生活や家族関係が壊れています。中高生の52万人が依存症の疑いがあります。小中高生の7割以上がネットゲームをしています。
ゲーム以外の利用も含めて、ネットの利用時間は159分です。平日に3時間以上利用している子供が、37%もいます。勉強が進まないだけでなく、睡眠不足になります。

依存症の問題として、昼夜逆転、欠席・欠勤、ものを壊す、食事をしない、家族への暴力、お金を盗むなどが上げられています。
お酒やたばこ、ギャンブルと同様に、未熟な子供が依存症になり、身を崩します。いえ、スマホの方が子供は手にしやすいので、こちらの方がより危険です。子供にこれらの機器を与えるのは、大きな問題です。

寒い5月

大型連休が終わり、東北新幹線の車窓から見える関東平野は、田植えが進んでいました。福島県内は、田植えはまだのようですが。
4月には、30度の日が続きました。今日8日は、福島の気温は10度あまり。冬に逆戻りでした。
天気予報を見て、ハーフコートを着て来ました。正解でした。職員の中には、クールビズを実践して、寒そうな人もいましたが。
ホテルは、先月の暑さで、空調を冷房に切り替えたそうです。よって、部屋で操作しても、暖房にはなりません。毛布を貸してくれました。

この天気が、連休中でなくて良かったです。
カエルも、ビックリしているでしょう。新幹線の中からは、カエルの鳴き声は聞こえませんが。

手帳の書き込みと余白

拙著『明るい公務員講座』で、仕事の管理は工程表で行い、時間の管理は日程表で行うことをお勧めしました。多くの人は、手帳で日程を管理しているでしょう。
私も、仕事については、秘書が日程表を作ってくれますが、私生活を含めて手帳で日程を管理しています。

で、手帳を見る際には、2つの観点から見ます。
まずは、書き込んである「業務の予定」です。書かれているのは、会議であったり、面談であったり、講義です。わたしにとっては、それが重要なのではなく、「次は、この準備をしなければならないな」と心構えをするためです。
「しなければいけないこと一覧」は別途作ってあるのですが、時間軸の中で準備作業の優先順位をつけなければなりません。これは、秘書に任せることはできません。

すると、手帳を眺めるもう一つの観点は、どこで自分の時間を確保するかです。手帳に書き込まれている「業務」でなく、書き込みがない白紙の時間を見るのです。「この時間帯に、あれを片付けよう」、「この準備は、この時間帯ででやるか」とです。
すると、手帳を見る際には、書き込みのある黒い部分でなく、書き込みのない白い部分が重要になります。
1日に何度か、このような視点から、手帳を眺めています。

勤務時間中だけ「労働を売っている仕事」なら、勤務時間そしてそのうちの業務の時間だけ、席に着いて仕事をしておれば良いのでしょう。しかし、企画立案を含む事務職では、そうはいきません。会議にしても、その時間帯に出席すれば良いのではなく、そのための準備が重要なのです。
すると、入っている予定の時間が重要な人と、入っている予定の時間の前の空き時間が重要な人に別れます。
学生も、授業時間に出席するだけではなく、その前と後の自習や、空いている時間に何をするかが重要になります。