藤田覚著『勘定奉行の江戸時代』(2018年、ちくま新書)が、勉強になりました。
江戸幕府の行政機構は、私たち行政・官僚のご先祖様なのですが、私は勉強したことがありません。時代劇に出てくる代官は、有力商人から賄賂をもらって「お主も、悪よのう」、「いえいえ、お代官様ほどでは・・・」という場面が定番ですが(苦笑)。そんなことでは、業務は回りません。
勘定奉行は字面だけを見ると、現在の財政課・会計課と思いますが、もっと広く幕府の財政と幕府領の行政(この時代は主に農政)を司ります。また現代のように、政府が教育や福祉を提供しない時代ですから、幕府行政の大宗を担っています。そして、裁判も兼務して担当します。
採用試験(筆算)があり、能力によって、勘定奉行まで出世することがあります。幕臣でない子供が、養子に入り、試験に受かり、出世していきます。これも、驚きです。数字を扱えないと、仕事にならなかったのでしょうね。
幕府後半は、財政難に対応するため、行財政引き締めと貨幣改鋳を繰り返します。これも、勘定奉行の仕事でした。
へえと思うことが、たくさん書かれています。