まだ外国人には不親切な日本

先日の夜のことです。地下鉄新宿3丁目駅で乗り換えた時、プラットフォームでまごついている白人女性2人がいました。英語で声をかけると、柱に表示された丸ノ内線の駅の一覧を示しながら、「中野新橋駅に行く方法がわからない」とのこと。

中野新橋駅は、丸ノ内線の支線にある駅です。ほとんどの列車は、本線の荻窪駅行きなので、途中の中野坂上駅で乗り換えます。
確かに、案内表示を見ても、直ちには理解できません。本線の駅が順に並んだ後、支線の駅が並んでいるのです。乗り換えることは、日本語表示でした。彼女たちは、英語の路線図も持っているのですが、小さくてよくわかりません。
と言うか、知っている私には理解できるのですが、初めての人には難しいでしょうね。駅のアナウンスは、「方南町方面は中野坂上駅で乗り換えです」と繰り返していますが、日本語でした。英語でこれですから、ほかの言語だと、もっと苦労するのでしょうね。

英語で説明したのですが、私の英語が通じているか不安だったので、「中野坂上駅まで一緒に行くから」と一緒に乗り込み、中野坂上駅では列車から降りて誘導しました。
オーストレイリア(オーストラリア)から休暇で来た、ご婦人と娘さんでした。聾唖者の学校の先生でした。
さび付いた私の英語では、説明は苦労しながらもできるのですが、聞き取るのは難しいです。

慶應大学、公共政策論第3回目

公共政策論も、第3回目の授業です。
社会の課題を考えてもらうために、私が分類している社会のリスクを説明しました。この分類は、かなりの力作です。「こんなリスクもあるなあ」「こんな分類もあるんだ」と思ってもらえたと思います。
学問(特に社会科学)は、社会の事象をどのように捉えるか、その基礎として様々な事象をどのように分類するかが、基本です。それによって、社会の見え方が変わり、対策が変わります。同じ事象を、どのような切り口で分類するか、そこに研究者の力量が問われます。

そのあと、大震災対応について前回の続きを、スライドで説明しました。
授業は順調ですが、200人を相手に講義した後、引き続き50人を相手に話すのは、さすがに疲れますね。
夜、異業種交流会を終えて、自宅でこのホームページの加筆をしています。1週間が終わり、「心地よい疲れ」と言いたいところですが、それを通り越しています。サッサとお風呂に入って、寝ますわ。
次回授業は、連休の谷間の5月2日です。しかも、6月1日はお休みなのです。大学からの指示ですが、不思議な日程です。

学生諸君へ
授業中に紹介した、川喜田二郎さんのKJ法を書いてある本は、『発想法』(中公新書、1967年、改版2017年)です。
予防接種のジレンマは、手塚洋輔著『戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷』(2010年、藤原書店)です。

慶應大学、地方自治論Ⅰ第3回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅰ、第3回目の授業でした。出席カードは201枚です。少しの学生を除いて、ほとんどの学生が9時からの授業に遅れず出席しています。
課題として出してある小レポートの、書き方のコツをお教えしました。
そのあと、地方自治論の本論に入りました。学生たちが、準教科書を読んでいることを前提に、ポイントを話します。まずは、地方自治の意義と機能です。ここは重要です。

小レポートについて、質問がありました。「取り上げる政策は、首長の施政方針のうち、大きなテーマが良いですか、その中の個別の政策でも良いですか?」。
どちらでも良いです。助言するなら、テーマは狭い方が、より具体的に書くことができるので、楽です。

タッチタイピングができるかと聞いたら、ほとんどの学生ができません。これもスマートフォンの普及の結果でしょう。企業の方に聞いたら、最近の学生(新規採用職員)は、固定電話が取れないことや、タッチタイピングができないことを、ぼやいておられますから。
練習しておいた方が、社会人になってから苦労しませんよ。練習ソフトがインターネット上で、無料で提供されています。やってみましょう。

日経新聞夕刊コラム第17回

日経新聞夕刊コラム第17回「この国のかたち」が載りました。前回に引き続き、日本の行政論について書きました。

「この国のかたち」という表現は、司馬遼太郎さんのことばです。
明治以来、欧米先進国から制度を輸入し全国に広めることが、日本の行政、大学、企業の仕事の仕方でした。「制度輸入、全国均てん」方式です。官僚、大学教授、企業の選ばれた職員が、欧米に留学し最新知識を持ち帰りました。
そして、大成功しました。しかし、先進国に追いついたことで、この手法は役割を終えます。たぶん1970年代から1980年代でしょう。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という表現は、「もうお手本はなくなった」ということを表していたのです。最後に「輸入」した行政制度は、2000年に開始した介護保険制度だと思います。

今回のコラムには書けませんでしたが、ジャパン・アズ・ナンバーワンが成り立ったのは、前にお手本があったこととともに、後ろから追いかけてくる国がいなかったからです。
台湾、韓国、そして中国が、それぞれの国内事情で経済発展が遅れました。これらの国々が経済開発に舵を切り、日本を追いかけてきて、日本の一人勝ちはなくなりました。
もっとも、これらの国々も、後発利益で快進撃を続けている限りは、日本と同じ道を歩むでしょう。すると、いずれ天井に当たります。それを避ける、あるいは突破するためには、新しい産業モデル、社会モデルをつくらなければなりません。
アメリカは、新しい産業に挑戦しています。IT、ハリウッド、バイオなどなど。また、それらを生みだすような「競争社会」です。それらと同じ土俵で競争するのか、別の社会を目指すのか。それも含めて「この国のかたち」をつくらなければなりません。

春の雨

今日の東北、関東地方は、春の雨でした。昼、福島から東京に向かう新幹線の窓からは、雨に煙った田んぼと里山が見えました。
ほとんどの田には水が張られ、きれいな景色です。水蒸気に満ちた景色は、東南アジア、モンスーン地帯特有のものですが、水田との取り合わせが、よくわかります。こんなに雨が降らなかったら、牧草地になったり、もっと乾燥した景色になるのでしょう。
雨模様は、外出する際には困ったものですが、このような風情も、良いものですね。