生産の読書、消費の読書、貯蓄の読書

先日、鎌田浩毅先生の『理科系の読書術』を紹介しました。その中に、「生産の読書と消費の読書」という考え方が書かれています。この分類は わかりやすく、読書をする際の指針、例えば学生に読書法を教える際に有用です。

私も、読書の種類を考えていました。
その一つは、「義務としての読書」と「楽しみの読書」という分類です。
学校の授業のためや仕事のために読むことは、義務としての読書です。嫌であっても、読まなければなりません。それに対して、楽しみとしての読書は、誰に命令されるのでもなく、好きで読むものです。
義務としての読書にも楽しいものもありますが、しばしば嫌々ながら読まなければなりません。そして、期限が決まっていない楽しみの読書の方が、早く読めるのです。試験の前の晩に、関係ない小説を読みたくなるとか。あなたも経験があるでしょう。

もう一つは、鎌田先生の「生産の読書と消費の読書」の二分類と共通するのですが、少し改変します。生産の読書と消費の読書のほかに、貯蓄の読書を加え、3分類します。
消費の読書を、「消費(娯楽)の読書」と「貯蓄の読書」とに分類します。
貯蓄の読書は、今すぐに役に立つものではありませんが、将来、役に立つ読書です。教養としての読書は、これに該当します。新書などの解説書は、これに入ります。
また、漫画や小説は多くの場合は娯楽であり、消費の読書です。しかし、漫画や小説で、いろんなことを学ぶ場合があります。それが後で役に立つ場合は、ここに言う「貯蓄の読書」です。
生産の読書との違いは、今持っているある目的のための読書と、直ちに立ちませんが将来役に立つ読書との違いです。
鎌田先生の分類では、貯蓄の読書は「消費の読書」に含まれているようですが、独立させた方が、学生にはわかりやすいと思います。

なお、生産の読書は、授業のための学習やレポート作成のための読書が主なものですが、これらのほかに「実用の読書」を加えることも可能です。それは、ハウツー本だったり旅行案内、お料理の本です。生活にすぐに役立つ読書です。

本を買うときに、この分類をします。読みたい本や読まなければならない本を、このように頭の中で分類しています。皆さんもそうでしょう。
さらに私は、時には、これを1枚の紙に書き出します。見える化です。もっとも、本屋に行っては気になる本を買うので、整理はしきれません。当面読む本だけを書き出しています。
厳密な区分は困難ですが、このように考えると、読み方も目的に応じて変えることができます。しっかりと読み込むのか、あらすじを追うだけとか、というようにです。

「明るい公務員講座 仕事の達人編」では、読む本を3つに分類して説明しました(108ページ)。「仕事に関すること」「公務員として知っておきたい社会や地域の動向」「趣味」の3つです。生産の読書、貯蓄の読書、消費の読書の3分類に、ほぼ相当します。(4月16日追記)