4月5日の朝日新聞オピニオン欄、「NPO埋もれていない?」、橋本努・北海道大学教授の発言「「公共を担う」、育った20年」から。
・・・NPOの活用や「新しい公共」など、政府機能を中間集団に担ってもらう発想は、1970年代の「新保守主義」から生まれたといえます。
米国の新保守主義、つまり「ネオコン」は、自国第一主義の外交政策というイメージです。しかし国内政策では、自発的に公の役割を担う精神や道徳性を強調し、ナショナリズムと結びつけて、NPOの活動を後押ししました。
英国では、79年に誕生したサッチャー政権がNPOを推進します。新自由主義と言われますが、「ビクトリア朝の美徳の再興」を訴え、人々の道徳や公共心を動員できると考えた点では、新保守主義的でした。
NPOの活用は、政府の財政危機を救うために人々の公共心を導入するという保守派も、政府に任せず市民が自発的に公共を担うべきだという急進的な左派も、賛成できた。だから広まりました。
活用の仕方は、アウトソーシング型と社会的起業型に大きく分けられます。アウトソーシング型は、政府機能を低コストで委託します。体育館運営などが典型で、新自由主義や「小さな国家」と親和性が高いです・・・