4月5日の産経新聞に「企業の重視するリスク」が載っていました。東京海上日動リスクコンサルティングの調査結果です。
それによると、特に重視しているリスク(国内)は、第 1 位「労働・雇用問題」( 61.5%)、第 2 位「コンプライアンス違反・ガバナンス問題」(60.7%)。続いて、「情報・システムリスク」(58.0%)、「地震・噴火・津波」(44.0%)、「製品・サービスの欠陥」(40.9%)です。労働・雇用問題は、前回2年前の調査では、第4位だったのが、1位になりました(記事に、変化が表になっています)。
・・・中でも人手不足が深刻とされる建設業や運輸・物流業は8割以上がリスクとして重視しており、人手不足により業務が滞ることへの心配や、長時間労働につながる懸念が広がっていることがうかがえる結果となった。また、大手広告会社、電通の違法残業事件をきっかけに労務管理の重要性が再認識されたことも影響しているとみられる・・・
・・・労務リスクが意識される背景には労働者の権利意識の高まりもある。18年に労働審判制度が導入されて以降、企業が従業員などから訴えられるリスクが高まっている。27年3月には、長時間労働による鬱病から自殺したJR西日本の男性社員の遺族に、約1億円の賠償を命じる判決が出るなど高額な損害賠償が認められる事例も発生している。
また、労務問題が発生すれば“ブラック企業”とのレッテルが貼られ、企業イメージが大幅に悪化する恐れがあるほか、訴訟で多額の賠償金が発生するケースもある。
こうした意識の変化は保険の加入にも表れており、三井住友海上火災保険と、同じグループのあいおいニッセイ同和損害保険では、企業が加入する保険に「使用者賠償特約」を付帯する割合が2年前の約2倍に急増。セクハラやパワハラ、不当解雇などで訴えられた場合に備える特約の付帯率も約2・5倍に増えているという・・・
災害やサイバー攻撃など、リスクは組織の外から来ると思いがちですが、労働問題、コンプライアンス問題、製品やサービスの欠陥など、組織の中から発生するリスクも大きいのですね。