調べたいことがあり、ジャック・アタリ著『21世紀の歴史』(邦訳2008年、作品社)を読みました。出版された時、本屋で手に取ったのですが、そのときは気が進まず。
フランスで出版されたのは2006年。世界金融危機を予言したと、有名になりました。今読んでも、適確な未来予想に、驚きます。
本の前半は、これまでの資本主義の歴史、経済と権力の中心がどのように移ってきたかを述べます。
後半は、未来予想です。民主主義、政府、国家が破壊され、放っておくと、混沌とした社会が出現すると述べます。市場・商品化の行き過ぎと、地域紛争によってです。
今まさに、進行していることです。市場経済と民衆の感情は、貧富の格差拡大や移民問題によって、放置しておくと、社会の安定が損なわれます。
この社会の分断を、どのように防ぐか。社会の統合(その基礎にある個人の満足。それは承認と再配分によるのでしょう)も、政治の重要な役割です。政治には、重い課題が突きつけられています(もっとも、対外戦争をすることで愛国主義に訴える手法はよく使われます。これには注意が必要です)。
経済成長がある時期にしか、民主主義は成り立たないという説もあります。20世紀の後半は、経済成長と両大国の支配とで、日本をはじめ多くの先進国や中進国にとって良い時代だったのでしょうか。
社会の動きや人の行動や感情を、管理することはできません。また、そんなことをしたら、怖い社会です。しかし、管理までに至らないとして、社会を制御すること、良い方向に導くことが重要です。