日経新聞夕刊コラム第11回「社会の財産」が載りました。
写真に写せない財産、数字に換算できない財産は、たくさんあります。個人にも、地域にも、社会にも。日本は、信頼に支えられた「強い社会」を持っています。
社会的共通資本は、私の長年の研究対象です。拙著『新地方自治入門』で、住みよい地域を考えた際に、気がつきました。
住みよい町は、社会資本(狭義、インフラや公共施設など)だけでは、できてはいません。目に見えない各種の資本(資産)も重要です。制度資本(教育や医療制度)、関係資本(信頼など)、文化資本(治安、気風など)があって、住みよい町ができます。これらを含めて、広く社会的共通資本(ソーシャル・キャピタル)をつくることを考えるべきです。
残念ながら、政治学や行政学の教科書では、十分に取り上げられていません。写真に写せない、数値で表せないことから、研究対象になりにくいのです。
公共政策論でも、多くは対象は行政の範囲にとどまっています。しかし、ここで取り上げた「社会関係資本」は、行政が法律や予算で作るものではありません。
公共空間を考えた際、その主体は、行政だけでなく、住民、企業、非営利団体もその担い手です。そして、対象も、法律や予算で作る公共施設や制度だけではありません。これまでの行政と行政学は、主体と対象さらには方法において、狭いのです。
『東日本大震災 復興が日本を変える』第4章でも、指摘しました。ご関心ある方は、お読みください。
慶應義塾大学での公共政策論でも、論じています。いずれ、本にまとめようと考えています。