雑誌『行政法研究』

宇賀克也責任編集『行政法研究』第20号(2017年10月、信山社)を紹介します。
第20号は、「行政法の課題」です。現在の行政法学の課題を、それぞれ第一人者が解説しています。目次を見るだけで、そして冒頭の宇賀先生による概要紹介(はしがき)を読むだけで、現状が分かります。
行政法の世界も、社会の変化にしたがって、どんどん変わっていきます。教科書では追いつけません。何が問題になっていて、どのような考え方になっているのか。それを知るために、このような概括は便利で、ありがたいです。

この雑誌は、宇賀先生が編集者になって、2012年から発行されている論文誌です。この号で、20号になります。
フランスなどでは、有力な研究者が編集者になって、雑誌を編集することが多いようです。宇賀先生のこの雑誌も、そのような試みでしょうか。
社会科学系の研究者が論文を発表するには、ジュリストのような商業雑誌、学会の機関誌もありますが、それぞれ制約があります。このような雑誌は、良いことですよね。もっとも、商業的には成り立ちにくいでしょうし、編集担当の先生にも大きな負担がかかるでしょう。
信山社からは、その他の分野、環境法、社会保障法、消費者法などの論文誌も出ているようです。

住まいのない人を引き受ける施設

2月17日の朝日新聞オピニオン欄「最低限の住まいとは」、奥田知志さん(NPO法人「抱樸」理事長)の発言から。
・・・1月に火災が起きた札幌市のそしあるハイムは、「無届け施設だ」という指摘があります。「届けを出さねばならなかったのに、出していない」という批判がこめられていますが、的外れです。「届け出なかった」のではなく、「届け出ることができなかった」あるいは「あえて届け出なかった」のだと思います。

法律に基づき届け出が必要な施設は利用者資格が明確に決まっていて、障がい認定や介護認定がなければ利用できません。つまり、制度ごとの縦割りになっています。そしあるハイムのような、40代から高齢者までいて、住まいの確保から就労支援、食事の世話、介護まで担う施設の枠組みはいまの日本になく、届け出のしようがないのです。

制度の狭間に置かれた、行き場のない人々が増えています。貧困だけでなく、社会参加できない、認知機能に問題がありそうだが介護保険の対象になっていない、家族と縁が切れているなどの複合的な要因を抱え困窮する人たちです。私も北九州市で無料低額宿泊所を運営していますが、公的支援はありません。縦割りで「入居者を限定する施設」ではなく「だれでも入れる施設」が必要だからです・・・

・・・もう一つ、民間施設には残念ながら「貧困ビジネス」もあり、玉石混交です。
そしあるハイムは生活保護受給者でも月に3万円程度手元に残る良心的な価格の施設でした。一方で、食事付きと称してカップめんだけとか、生活保護費を全額徴収し、入居者が自由になるお金がない施設が問題になっています。貧困ビジネスは規制し、必要な施設を応援するルールづくりが求められています・・・

日本記者クラブ取材

今日は、日本記者クラブ「福島取材団」の取材を受けました。皆さん、現地視察を終えた後、19時からです。熱心さに、頭が下がります。
マスコミの皆さんは、現状と課題はご存じですが、全体を整理してもらうのに良い機会と考え、私の考えをお話ししました。復興政策を進めるため、国民に現状を知ってもらうことは、重要です。また、国費を使っているので、納税者への説明も必要です。

鋭い質問が、たくさん出ました。しかし、現地では、住民の思いも人によって違います。なかなか、一刀両断的な回答はできません。復興を進めることは、単線的ではないのです。

福島復興の概要資料

2月18日に開いた「原子力災害からの福島復興再生協議会」に出した資料が、復興庁のホームページに載りました。

福島復興・再生に向けた取組状況」が、復興庁が作成した概要です。
避難指示解除の状況について」と「福島第一原発の廃炉・汚染水対策の状況について」が、原子力災害対策本部事務局の資料です。
除染・中間貯蔵施設・汚染廃棄物処理の現状について」が、環境省作成の資料です。

第16回福島復興再生協議会

今日2月18日、福島市で「原子力災害からの福島復興再生協議会」を開きました。国と地元の代表が出席し、福島の復興について協議する法律に定められた協議会です。定期的に開いています。
帰還困難区域を除き避難指示が解除され、帰還困難区域でも復興拠点整備が始まっています。除染は一部を除き終了し、除却した土壌を中間貯蔵施設へ運び込んでいます。しかし、まだまだ課題がたくさんあります。
復興の状況と課題をまとめた資料を提出しました。おって、復興庁のホームページに掲載します。
福島市は、雪は止みましたが、積もった雪で真っ白です。