柳川範之・東大経済学部教授の『東大教授が教える独学勉強法』(2017年、草思社文庫)が参考になります。
先生は日本の公立中学卒業後、父親の海外転勤などで、以後、独学を続けました。大学も、慶應大学の通信制です。そして、東大の教授になられました。
この本は、勉強とは何かを教えてくれます。知識や情報を覚えることと、考えて判断することの二つがあると、冒頭で強調されています。納得です。
それなら、独学でも身につく。いえ、先生が指摘するように、覚えるだけなら、大勢で授業を受けるより一人で取り組んだ方が効率的です。
もっとも、一人で目標と時間割を決めて勉強することは、かなりの精神力が必要です。学校で強制されても、サボるのですから。よって、凡人には学校で強制されるか、家庭教師がついて強制されることが必要でしょう。
この本を読むと、独学だけでなく、授業で学ぶ際や、本を読む際に必要なことやコツも分かります。勉強によって身につけるのは、知識と考え方です。授業を受けていても、結局は本人が身につけないと、効果がありません。 馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ますことはできないのです。
すると、知識と考え方を得る「方法」を身につけることが重要です。その方法がわかれば、あとは自分で勉強できます。
もう一つ、私が学校で学んだことは、友人や先生との対人関係であり、社会での身の処し方です。これは、家庭でのしつけや、テレビや小説を読むことでも身につくでしょうが、学校での集団生活が便利です。特に、引きこもりの問題が指摘されている現代では、対人関係をつくる能力は重要です。
先生の場合も、全く独学というわけではありません。経済学の道に進む際には、伊藤元重・東大教授との出会いがあるのです。