視野の時間的広さ・ゾウの時間 ネズミの時間2

昨日の続きです。視野の時間的広さ(長さ)を表す表現として、「ゾウの時間 ネズミの時間」が一つの案です。

本川達雄著『ゾウの時間 ネズミの時間』やその他の先生の発言も利用すると、時間は体重の4分の1乗に比例します。体重の4分の1乗に比例するということは、体が16倍大きくなると、時間は2倍ゆっくりと経過することになります。
心臓が1回ドキンと打つ時間は、ヒトはおよそ1秒。ハツカネズミは1分間に600回から700回で、1回のドキンに0.1秒。普通のネズミは0.2秒、ネコで0.3秒、ウマで2秒、ゾウだと3秒かかります。
30gのハツカネズミと3tのゾウでは体重が10万倍違うので、時間は18倍違います。ゾウはネズミに比べ、時間が18倍ゆっくりだということになります。

ネズミが短命でゾウが長生きするだけでなく、「生活の時間単位」が寿命に比例しているのです。心臓のドキンを「1生活秒」とすると、ハツカネズミの「1生活秒」は時計では0.1秒です。人間は「1生活秒」は1秒、ゾウの「1生活秒」は3秒です。
ネズミは細かいことはよく見えるのでしょうが、長期的視点では考えることができないのでしょう。ゾウはその逆になります。セカセカして生きるか、鷹揚に生きるか。

興味深いのは、哺乳類の場合、いろんな動物の寿命を心周期で割ると15億になります。つまり、哺乳類の心臓は一生の間に15億回打つという計算になるのです。
ハツカネズミの寿命は2~3年で、インドゾウは70年近くは生きますが、心拍数を時間の単位として考えるなら、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになるのです。すなわち、ネズミもゾウも、同じだけの生物時間を生きていて(と言っても、本人は比較のしようがありませんが)、早く駆け抜けるか、ゆっくりと生きるかの違いなのですね。