日経新聞10月25日のオピニオン欄、中山淳史記者の「不正の芽摘む「失敗の科学」」でした。
かつては大事故があった飛行機ですが、世界の民間旅客機による死亡事故発生率は、830万フライトに1回まで低下しています。失敗に学んだ結果です。「失敗をさせない」ではなく、「失敗を事故に結びつけない」との発想だそうです。この記事ではそれに引き続き、企業の不祥事について書いています。
・・・東京都内にある公認会計士事務所が運営するウェブサイト「第三者委員会ドットコム」によると、存続が危ぶまれるような不祥事が起きた日本企業が有識者を入れて設置する「第三者委員会」や「特別調査委員会」の数は2015年以降、年間50件前後に増えている。それまでの2倍以上だ。
確率論的には株式上場企業(3572社)の重大不祥事発生率は毎年1%を超す。ガバナンス(企業統治)改革が進み、不祥事に社会全般の関心が強まっているせいもあろう。今年もすでに31の委員会ができた。アルミ、鉄鋼製品などのデータ改ざんがあった神戸製鋼所も含まれている・・・
・・・一方、慶大の菊沢研宗教授は「日本の組織は合理的に失敗に向かう傾向がある」と言う。例えば、東芝は原子力事業から撤退したら「政府からしかられ、従業員の雇用も不安になる」。神戸製鋼は「納期やコストを守らないと取引先から契約を打ち切られる」などの懸念を抱いた。
「経営陣、管理職は下に向かって『何とかしろ』と命令を下すが、何ともならないとわかっている部下たちは袋小路に嵌まり、不正行為を考え始める。不正が起きても周囲は目をつぶり、何も言わないことがその組織にとっての『合理性』になっていく」(菊沢氏)という・・・
「第三者委員会ドットコム」のサイトを見ると、「こんなにもあるのか」と驚くくらい事案が載っています。管理職に参考になる分析です。原文をお読みください。