変化の激しい業界でのリスク管理

朝日新聞オピニオン欄9月16日は、南場智子さん(DeNA創業者・会長)のインタビュー「マイナスからの出発」でした。DeNAは、インターネットサービス会社大手ですが、まとめサイト問題で不正確、無責任な内容を掲載し、それによって売り上げを伸ばしていたことで批判を受けました。

「スピード感とリスク管理のバランスが、とれていなかった?」という問に。
・・・私の仮説ですが、リスク管理機能が充実して整備されれば、やっていいこと、悪いことがはっきりして、意思決定も早く進む。今回は、完全に配慮が欠けていた。予測できたはず、ここが一番恥じているところです。結局、コンプライアンスの体制不整備の故に、1年近くの時を失いました・・・
「守安功社長の責任は」について。
・・・守安はコンプライアンスの徹底や権利侵害の是正を現場に厳しく指示しましたが、その後のフォローが不十分でした・・・

「あふれる情報の何を信じ、何を疑うか。難しい課題です」との問に。
・・・おまえが言うなとお叱りを受けますけど、本当に大事なことは一次情報に触れること。二次情報、三次情報にわりと簡単に影響されて、特に若者は仲間意識で盛り上がりがちです。ソーシャルメディアのオピニオンリーダーのつぶやきに左右されず、自分の腹に意見が聞けるような情報の集め方、整理の仕方をしてほしい・・・

大阪府市町村職員研修

今日は、おおさか市町村職員研修研究センター(マッセOSAKA)に呼ばれて、講演に行ってきました。府下の市町村職員研修です。テーマは、「ぼくたち、わたしたちもみんな新人だった~振り返ろう、公務員とは」です。
拙著『明るい公務員講座』を基本に、話して欲しいとのことでした。対象者は、20歳台から50歳台まで幅広く、話の焦点を絞るのが難しかったです。でも、このような研修に参加しようという意欲がある時点で、今日の参加者は「合格」ですよね。
私の話に対しての反応もよく、気持ちよく、そして調子に乗って話すことができました。いつものように、私の実例(失敗談や普通の公務員では経験できない話)を入れつつ、次々と「場面展開」をするので、話について来るのが大変だったかもしれません(反省)。
みなさん、さらに研鑽を積んで、仕事をこなし、出世してください。

この研修所の所長が、齊藤愼・元大阪大学教授です。地方財政の大家で、かつて大変お世話になりました。久しぶりに、ご挨拶をしてきました。

職場の3大無駄

連載「明るい公務員講座・中級編」で、職場の無駄を書いています。私の経験では、会議が第1位。これは、多くの方が感じておられるでしょう。

第2位は、資料の作り込み(手間をかけすぎ)です。これは、資料の内容を考えることに時間を費やすのではなく、体裁に時間をかけることです。
特にいけないのが、パワーポイントによる資料作成です。活字の大きさと字体や色彩を変えたり、矢印の多用したりなど、職員が技巧を発揮してくれます。でも、矢印は何の意味か分からず、色彩変えたり活字の字体を変えても、読む方は見にくいだけです。あなたの苦労は意味がなく、というより、はっきり言って無駄です。
パソコンが導入され、文書作成ソフト(一太郎、ワード)や資料作成ソフト(パワーポイント)を職員が使うようになって、便利になると同時に、無駄をすることが生まれたのです。社内文書にパワーポイントを使うことを禁止している会社もあります。

第3位は、パソコンです。電子メールとインターネットです。
まず電子メールです。いつでも相手の事情を考慮することなく送ることができます。とても便利です。しかしこれが、受け取る方にとって、邪魔なのです。
電子メールが届くと、ついつい内容を読んでしまいます。重要なものかしょーむないものかは、読んでみないとわからないのです。ところが、ばらばらと届くことで、している作業が中断されます。
ある報告では、集中している作業が電子メールで中断されると、もう一度復帰するのに15分かかるのだそうです。そこまでかからないとしても、確かに思考が中断されると、元に戻すには時間がかかります。
電子メールを確認していることは仕事をしていることなので、その無駄に気づきません。この防止策は、作業中はパソコンを閉じておくことです。心配だったら、1時間おきに電子メールを確認すればよいです。

もう一つのインターネットは、分かりますよね。気になったサイトを次々と見る、サーフィンです。週刊誌を広げることは気が引けますが、ネットサーフィンは仕事をしているかのように見えるので、案外無防備に見てしまいます。管理者も娯楽のサイトは閲覧できないようにしていますが、すべてを制限することは難しいです。
キーボードを触らず、マウスだけを使っていたら、それはまずサイト閲覧で遊んでいると思ってよいでしょう。
あなたがどのようなサイトを見ているかは、機械的にすべて記録されています。自治体でも、職員に注意喚起し、さらにひどい場合は懲戒処分をしています。気をつけてください。
こう考えると、パソコンが、職場の無駄の第1位かもしれません

原発事故被災地、復興拠点整備へ

原発事故で避難指示が出された地域のうち、帰還困難区域以外は、この春にほとんど避難指示が解除されました。多くの町では町の中心部を含め、かなりの面積が居住可能になりました。これらの地域では、順次住民の帰還が進んでいます。
しかし、いくつかの町村では帰還困難区域が残り、特に双葉町と大熊町では、まだ全町で避難指示が出ています。

この2町に、帰還に向けて復興の拠点を作ることが、次の課題でした。町全体をあるいは広い面積を解除するのは、放射線量が高く困難です。そこで、線量の低い地域で住民が戻るであろう地域から、除染と復興を進めようという考えです。
まず、双葉町について計画が認定されました。大熊町でも、検討が進んでいます。また、浪江町などこのほかの町村も、かなりの面積が解除されたのですが、まだ帰還困難区域が残っています。これらについても、検討を進めています。

この帰還困難区域は、事故直後には、将来帰還が難しいと判断し、全損賠償(全財産を買い上げると同額の賠償金)を支払い、故郷損失賠償(ふるさとを失う精神的賠償)も行った地域です。6年の時間の経過で、一部とはいえ帰還に向けて作業が始まるとは、当時は考えもできませんでした。

日本財政学会で報告

今日は、日本財政学会で報告するために、立教大学(池袋)に行ってきました。私の出番は、分科会Cー3「東日本大震災復興の現段階」です。このようなテーマを取り上げてくださることは、ありがたいことです。

今回の災害では、町を造り替える(高台移転やかさ上げ)必要があったこと。そのために住民の話し合いが必要であったこと。またインフラの復旧だけでは暮らしは戻らず、産業やコミュニティの再建が必要だったこと、をお話ししました。
財政学会ですが、予算だけでは実現できないことに焦点を当てて、お話ししました。皆さん、その点については納得いただいているようです。課題は、ではどのような手法で実現するかです。被災地では、その試行錯誤をしているのです。

旧知の先生方や記者さんと、挨拶を交わしてきました。