性格の違い、人生への影響

鈴木信行著『宝くじで1億円当たった人の末路』(2017年、日経BP)がおもしろかったです。
本屋で見たときは、表紙を見て「雑学」「とんでも本」の一種かと思って、手に取りませんでした。書評で取り上げられていて、買って読みました。
表題になっている、1億円当たった人の末路は、想像がつきました。勉強になったのは、ほかの人たちです。
子どもにキラキラネームをつける親は、とんでもない人でなく、中流以上で真面目な人が多いこと。自分は没個性的な人生を余儀なくされたが、子どもには個性的な人生を送って欲しいと思って、そのような名前をつけます。ところが、子どもには「周囲にあわせて生きよ」と抑圧してしまうのだそうです。子どもは、あまり幸せではないようです。ところが、最近はそのような名前が多くなって、目立たないとか。
友達がいない人は、不幸な人生だと思われます。ところが、一人で生きていける力のある人は問題なく、「友達を作らなければいけない」と思い込んで群れようとしている人の方が問題だとか。へえ!と思う事例がたくさん載っています。
取り上げられているのは、何かに遭遇した人(宝くじにあった人)の将来がどうなったかというより、「このような性格の人はこうなる」という性格による人生の違いが多いようです。

「おわりに」に書かれていますが、この本のもう一つのテーマは、社会や世間にうまく同調できずに悩んでいる人へのエールです。
同調圧力が強い日本で、周りにあわさなければいけないと思って悩んでいる人が多いのです。それにあわせようとする人が、友達を作らなければいけないと思い、自分はそうだったけど子どもにはそうなって欲しくない親が、子どもにキラキラネームをつけるのでしょう。
日本社会論として勉強になる本です。