慶應義塾大学、地方自治論第13回目

今日は、慶應大学で地方自治論、第13回の講義でした。
地方公務員について、お話ししました。特別職と一般職の違い、その人数と分野別の人数などの基礎データを示しました。教育関係と福祉関係が多いことに、みんなびっくりしていました。
公務員特有の規制(労働基本権の制約など)とともに、採用、異動、昇進、人事評価の実態についても、お話ししました。教科書には書かれていないことです。実務家教員なのでお話しできる内容だと思います。特に、懲戒処分を受けたこと(管理不行き届きですが)の話は、経験者でないと話せないですよね(苦笑)。

学生諸君へ
次週は、いよいよ最終回、おさらいです。これまでに配ったレジュメと資料を持ってきてください。

長寿化によるリスクの変化

7月10日の日経新聞に「長寿化 変わる保険」という記事が載っていました。
・・・今や人生80年とも90年ともいわれる長寿社会となった。それを受け、生命保険各社は来春にも保険料を改める。一定期間内に死亡した際に保険金を支払う定期型の保険料は下がる半面、病気にかかるリスクの高まりを反映して医療保障など生きるための保険料には上昇圧力がかかる。一方、契約者側も生存中のリスクに備える商品に軸足を移し始めている。生保も契約者も保険の損得勘定が問われる・・・
・・・「保険=死亡への備え」とは限らない。長寿化に伴い、契約者側の意識や需要も変化してきている。
生命保険文化センターが男性が加入している死亡保障の平均額を調べたところ、16年は1793万円だった。2382万円だった07年から25%減り、1996年に比べると33%も減った。共働き世帯が増え、少子化もあり、自らの死後に家族に残す保険の必要額は減ってきている。
代わって需要が高まってきているのは、自らの病気やケガへの対処や、それで働けなくなった場合といった「生きている間の備え」だ。

副題には、「死亡リスクより「生きるリスク」」とあります。長寿化は、こんなところにも影響を及ぼすのですね。

明るい公務員講座・中級編29

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第29回「組織を動かす(3)変わる働き方」が発行されました。職員の努力が、組織の成果につながっていない。その問題について書きました。
日本人が働き者だということは、定説になっています。長時間労働もです。しかし、その割には、成果が上がっていないのです。先進各国(G7)では、時間当たりの労働生産性は最下位、フランスなどの7割です。これって、屈辱的ですよね。
公務員に限った統計はないのですが、「民間に比べて公務員の生産性は高い」という話は聞きませんから、同じようなものでしょう。

何が問題なのか。それは、働き方、仕事の仕方です。皆さんも、「うちの職場でも、無駄なことをしているなあ」と感じることがあるでしょう。
それを、今回から数回にわたって解説し、処方箋も提示します。読まれたら、きっと「そうだよなあ」とおっしゃると思います。乞うご期待。
今回の内容は、次の通り。
長時間労働の割には成果が出ていない、常態化している残業、問題は仕事の仕方、昔はそんなに働いていなかった、一部の人は猛烈に働いていた、社会が仕事人間の心をくすぐった。

慶應義塾大学、公共政策論第13回目

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第13回の授業でした。公共政策の「元締め」である政府の役割について、機能別に分類してお話ししました。政府の役割を分類したものって、ないのですよね。かつてつくった表を配り、説明しました。

その際に、政治(学)、行政(学)、社会(学)と、公共政策論がどのような関係にあるのかを説明しました。「岡本先生の公共政策論の位置づけが分かりました」という学生の反応がありました。この授業では、関心を持ってもらうために、具体的各論から入ったので、私の公共政策論の全体像がわかりにくかったかもしれません。もっとも、抽象論や理論を話しても、面白くないでしょう。

さらに、政府の役割の具体例として、麻生政権での政策体系をお話ししました。
麻生総理の政策、目指したものは、一言でいうと「安心と活力」でした(官邸、麻生内閣のページ)。社会では高齢化、財政は赤字財政、そしてリーマン・ショックによる世界同時不況。これらに立ち向かう際の、大きな方向性が、安心と活力だったのです。それを、国民にわかりやすく示すこと。これは重要だと思います。
残念ながら「マニフェスト」は、民主党政権の失敗(実現困難なことを並べたこと)で、国民の口に上らなくなりました。しかし、政治家(政党)にとって、どのような政策を実現するかを国民に示すことは重要です。それも、羅列でなく、一貫性があり分かりやすくなければなりません。

企業と行政との協働

復興の過程で、企業の社会貢献が重要であると、指摘しました。拙著『東日本大震災 復興が日本を変える-行政・企業・NPOの未来のかたち』(2016年、ぎょうせい)。慶應大学法学部での公共政策論でも、一つの柱としています。

福島県庁が、意欲的に企業との協働に取り組んでいます。「企業等との包括連携協定」です。リンク先の具体事例をご覧いただくと分かりますが、地産地消、観光、地域の見守り、がん検診推進、森林づくりなど、多岐にわたり、またなるほどと思う事例が並んでいます。ご覧ください。
庁内各課にまたがるもの(企画調整課所管)
それぞれの課の所管分