発掘で分かる災害の歴史

文化庁編『日本人は大災害をどう乗り越えたのかー遺跡に刻まれた復興の歴史』(2017年、朝日選書)を紹介します。これは、「発掘された日本列島展2016」の副産物です。その関連企画として、発掘調査などでわかった大災害からの復興についての講演会をまとめたものです。
弥生時代の洪水、古墳時代の火山噴火、平安時代の貞観地震、中世の戦乱など、「災害列島日本」の歴史でもあります。

東日本大震災は、忘れられていた列島の大災害を、思い出させました。また、復興工事のために、たくさんの箇所で発掘調査も行われました。いろんな新たな発見もありました。全国から調査員が応援に入ってくれました。復興庁も財政面から支援をしました。毎年の「発掘された日本列島展」でも、被災地での発掘は特設コーナーをつくって、解説してもらいました。
これらを、後世にどう引き継いでいくか。これも課題です。

「全勝さんは、発掘が好きですねえ」という人がおられます。私は明日香村出身で、遺跡の発掘を身近に見て育ちました。近所のどこかで、発掘が行われていましたから。官僚にならないなら、考古学者になりたかったのです。小学生の時の「将来の夢」の作文にも、書いたのですが。