朝日新聞見学

今日は午後から、慶應大学の学生15人を引率して、朝日新聞本社見学。90分の見学+記者による60分の説明+意見交換会。見学では、編集局で編集の作業中の記者に、実際の作業を見せてもらい、質疑も。
事前に、10数問の質問も提出してあったので、それにも答えてもらいました。そして、記者の醍醐味なども。これはなかなか聞くことのできないものでした。
ありがとうございました、坪井論説委員、大月編集委員。とても豪華な勉強会でした。
明日の朝日新聞の東京版に、紙面に空きがあれば、見学に行ったことが1行載るそうです。

残念ながら今日参加できなかった学生諸君へ
朝日新聞はインターンシップを募集しています。マスコミに興味のある学生には、とても価値のある企画です。お勧めします。

車窓、田んぼが緑に

毎週、新幹線で福島に通っています。ほとんど、新聞や資料を読んでいるのですが、目を窓の外に移すと、きれいな景色が見えます。
冬の間、荒川を渡る際に見えていた富士山は、春になると見えなくなりました。冬は空気が乾燥していてよく見えるのですが、春からは霞がかかったようになり、遠くまで見通せないのです。
代わりに、車窓から見える野山は、緑がきれいです。田んぼの稲がすくすくと育っています。先日までは、水面が空を映していたのですが、稲が生育して田んぼも緑になりました。

流れる時間に節をつける

時間が経つのは、早いです。先日、大型連休だと思っていたら、もう6月です。
毎日、さまざまな方が訪ねてきてくださり、昼も夜も忙しいです。休日は相変わらず、授業の準備と原稿に追われています。5月は授業以外に、3回講演に行きました。お呼びがあることは、良いこととしましょう。

「何もしないうちに5月が過ぎた」と思って手帳を見たら、結構いろんなことをしています。このような「振り返りの時間」を持たないと、時に流されてしまいますね。切れ目のない、かつ何でも流し去る「時間の流れ」。それに、竹にあるような「節」をつける。そして、意味をもたせるのは、手帳による振り返りでしょう。

大学の授業は、公共政策論と地方自治論それぞれ7回が過ぎ、折り返し点です。当初考えた計画を、少し変えて進めています。学生たちの反応と関心を見て、重点を絞っているのです。
当初から、基礎的な知識は指定した「準教科書」で学んでもらい、私の授業では重要なポイントとともに「ものの見方や考え方」をお教えしますと宣言してあります。
授業では毎回、出席カードに意見や疑問を書いてもらいます。その記述(約70人と50人分)を読むと、学生たちの反応が良いのがわかります。これはうれしいことなのですが、それに答えようとすると、ますます「今の話題」や「最新の争点」に話が進みます。すると、レジュメと資料の準備に時間がかかるのです。
教科書を読むといった授業なら、楽ができるのですが。

本屋で面白い本をいくつも見つけ、書評で気になった本をアマゾンで発注してしまい、身動きがとれなくなっています。自業自得、苦笑。

福島復興再生総局幹部会合

今日は、福島で、福島復興再生総局幹部会合を開きました。吉野大臣が就任され、新しいメンバーで、取り組みの実績と今後の課題を確認しました。
この組織は、福島復興のために、現地にある国の3つの機関(福島復興局、環境再生事務所、原子力災害現地対策本部)を統轄するものです。私が事務局長で、毎週関係者に集まってもらい、情報交換と統一のとれた対応ができるようにしています。縦割りの弊害が起きないようにです。県庁との連絡も密にしています。
今日は、大臣や副大臣に集まってもらい、意見交換をしました。各省から政務職が集まる、それも福島の現地で行うことに、意義があります。

この春に、避難指示が解除できる地区は解除しました。その地区に、にぎわいを取り戻すことが必要です。他方、まだ帰還困難な地区では、復興拠点をつくることにしています。除染はかなり進みましたが、その土などを中間貯蔵施設に運び込む必要があります。黒いフレコンバッグが積まれていると、復興の妨げです。そして、引き続き被災者の支援をすることが必要です。

ドイツ陸軍の失敗

大木毅著『灰緑色の戦史――ドイツ国防軍の興亡』(2017年、作品社)を読みました。「無敵の軍隊」の虚像が、剥がされます。
子供の頃、「ドイツ陸軍、日本海軍はとても強かった」と教えられました。「アメリカの物量に負けた」ともです。そのような俗説、神話が普及していたのでしょうね。
高校生の時に、日本軍の戦記物が好きな友人がいて、その影響でいくつか関係の本を読みました。
しかし、もう少し客観的な本を読んだのは、大学生の時です。決定打は、有名な『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』(1984年、ダイヤモンド社。中公文庫に採録)です。日本軍の失敗が、明らかにされます。

ミッドウェー海戦も、物量では日本海軍の方がアメリカ海軍を上回っていました。負けたのは作戦の失敗です。いくらドイツ陸軍、日本海軍が強いと言っても、結果として負けているのですから、強くなかったことは証明されています。神様が、イタズラをしたわけではありません。
そもそも、物量において圧倒的に差があることは、開戦前から分かっていたことです。分かっていながら戦争をする。これほど不合理なことはありません。
結果は、あのひどい敗戦。国民は空襲やその後の混乱で、戦死、飢餓など塗炭の苦しみを受けました。戦争孤児もたくさん生まれました。軍隊はお取りつぶし。アジア各国にも大変な被害を与え、後世の日本国民にその「負の遺産」を半永久的に負わせることになったのです。戦争指導者の責任は、追及されてしかるべきです。

ドイツにしろ日本にしろ、負け戦の物語を読むことは、楽しくありません。勝った戦争は、勇敢な兵隊と有能な指揮官がいてと、楽しいですが。しかし、負け戦にこそ、学ぶべきことはあります。