なぜ日本国憲法は改正しなくても済むのか

5月2日の朝日新聞オピニオン欄「憲法を考える、70年変わらない意味」、ケネス・盛・マッケルウェイン東大准教授の発言「少ない分量、詳細は個別立法」から。
・・・国際的に比較して、日本国憲法の目立った特徴は、全体の文章が短いことです。英訳の単語数は4998語で、最も長いインドは14万6千語、平均は2万1千語。日本よりも短いのはアイスランド、モナコなど5カ国だけです。
もう一つの特徴は「長寿」です。70年間一度も改正されていない日本の憲法は、現行憲法としては世界一です。2位はデンマークの63年です。
長期間、日本の憲法が改正されなかったのは、憲法9条をめぐって国論を二分した議論が続いてきたような政治の状況だけでなく、憲法そのものの構造的な理由があったと考えています・・・

・・・まず、分量が少ない日本国憲法は、多くの国では憲法本体に書かれている選挙や地方自治など、統治に関する項目が「法律で定める」とされている場合が多い。ノルウェーのように憲法で選挙区まで定めている国と、公職選挙法を60回近く変えても、憲法を変える必要のない日本とでは憲法改正についての条件が異なるのは当然でしょう。
一方で、人権については、制定当時の国際水準からみると、多くの記述がなされており、先進的でした。そのため、例えば男女同権についての新たな規定を憲法に追加するといった切実な必要性がありませんでした。
短いですが、「人権」には手厚く、「統治」は法律に任せていることが、改正の必要がなかった大きな理由だと考えられます・・・

原文をお読みください。
マッケルウェインさんは、5月3日の読売新聞「憲法施行70年」にも、「9条の現状 とても深刻」を寄稿しておられます。

書斎の整理

連休中にしたことに、衣替えのほかに、書斎の整理があります。遂に決心して、読んだ本の処分を始めました。近くにブックオフがあるので、近年読んだ本で、もう読まないであろう本を持っていきました。
11年前に家を建てて、書斎を造りました。壁の2面を作り付けの本棚にしたのですが、収容しきれず、実家に預けてあった本を引き取った際に、かなりの量を捨てました
しかし、その後も増殖を続けて、書斎の床と寝室の壁際に山になっているのです。毎週、少なくとも隔週のように本屋に行って、3~5冊買うと、年間100冊から200冊程度は増えます。頂き物の本も多く、10年で1,000冊から2,000冊ですね。そのうち読んだ本は・・・。
「いつかは捨てる決心しなければ」と思いつつ、先送りしてきました。それぞれに思い出があって、往生際が悪いのです。誰か興味のある人にあげれば、喜んでもらえるのでしょうが。

天気も良く、遂に着手。積んである山の上の方から、紙袋に入れました。表紙を見ると、それぞれに思いはありますが、それはこの際「捨て」ましょう。中には、「こんな本も読んだんだ」というような本も。まあ、寝る前に布団の中で呼んだ「軽い本」は、そんなものでしょう。

店員さんが、本の裏のバーコードを読み取ります。もらった明細書には、本の名前と買い取り価格が印刷されています。便利なものですね。3往復して、合計98冊。バーコードのついていない本は持ち込まなかったので、すべて引き取ってもらえました。
引き取り価格は、合計で6,120円。1冊あたり60円あまりです。新書や文庫類は、50円から5円です。高かったのは、500円。それぞれ昨年出た本で、定価3,780円と2,916円の本です。古書市場での価格を反映したものなのでしょう。私の思い出や、著者の労力に関係なく、機械的に評価されます。

書物や情報というものの性質を、よく表しています。
私にとって、私の血となり肉となったものは、定価以上の価値があります。寝る前の娯楽として読んだ本、特に読んだことも忘れているような本は、定価通りの価値なのでしょう。しかし、二度と読むこともなく積んである本は、邪魔なだけです。本棚に並べて背表紙を見て、いろいろ思い出すことがあれば、それなりの価値はあるのでしょうが。そして、古書市場での商品価値は、ブックオフがつけてくれたとおりです。

100冊近く捨てたのですが、本の山はほとんど低くならず。引き続き格闘する必要があります。

初夏ですね

今日の福島は暑かったです。風も立っていられないくらい強く、山火事も相次いでいるようです。広がらないことを祈っています。

連休を境に、季節が変わりましたね。暑い日が続き、まさに初夏を感じさせます。連休前は、まだ冬服が必要だったのに。休みの間に、上着や下着を、入れ替えました。
福島へ向かう新幹線の車窓からも、季節の移り変わりがよく見えます。桜が咲いたと思ったら、田おこしが始まり、水が張られました。今日は、田植えが終わった田んぼが見えます。
この景色は、いつ見てもきれいなものです。日本の原風景ですね。野山の緑も、若葉がきれいです。

相馬市役所で講演

今日は、相馬市役所で職員研修の講師を務めました。拙著『明るい公務員講座』を読まれた立谷市長から、「本に良いことが書いてある。それを、職員にいつもの調子でしゃべってほしい」との依頼があり、引き受けました。
本に書いてあることにも触れましたが、それよりも、大震災の対応そして復興と、市長も職員も大変な苦労をされました。それを通じて、職員が「成長、発展」したことを、皆さんと一緒に振り返りました。

自治体というと、「前例がありません」「予算がありません」というと思われがちです。しかし、今回の災害に遭った自治体では、そんなことは言っておられませんでした。
また、立谷市長が民間出身で、災害前から、持ち前のリーダシップで、市役所と職員を引っ張っておられました。発災直後にお邪魔したしたときも、様々なアイデアで、緊急事態に応えておられました。

災害という試練を、仕事ができる場や住民に応える場として、多くの職員が活躍しました。それを通して、職員も市役所も能力を向上させました。
前例のないこと、法令にないことに挑戦する。住民の立場に立って、要望を実現すること。また、できない場合はその理由を述べて、説得すること。企業やNPOなどと協同すること。
私が、これまで主張していたことが、大災害という場面で、実施する、実施せざるを得ませんでした。そこで、住民の期待に応えることができるかどうか。職員と自治体の能力が試されました、もちろん、初めてのことでもあり、はじめから順調にできたわけではありません。経験を積むことで、上達したのです。この経験を、普段の業務にも生かしてほしいと思います。

戦後日本のイノベーション

発明協会が、「戦後日本のイノベーション100選」を選んでいます。これは、戦後日本で成長を遂げ、我が国産業経済の発展に大きく寄与したイノベーションを選定したものです。
ここでいうイノベーションは、「経済的な活動であって、その新たな創造によって、歴史的社会的に大きな変革をもたらし、その展開が国際的、或いはその可能性を有する事業。その対象は発明に限らず、ビジネスモデルやプロジェクトを含み、またその発明が外来のものであっても、日本で大きく発展したものも含む」です。
上位10をご覧ください。「なるほどねえ」と思う発明が、並んでいます。

私は、戦後日本が世界に貢献した生活での3大発明は、インスタントラーメン、カラオケ、ウオッシュレットだと考えています。3つ選ぶとしたら、皆さんなら、何を選びますか。世界の人の生活を便利に、豊かにしたという視点からです。
日本の伝統文化も重要ですが、それだけでは発展はありません。新しい生活文化に、何を付け加えていくか。科学技術の発明発見と、それを暮らしに応用していくことが求められます。