慶應大学、公共政策論第3回目

今日は、慶応大学で公共政策論の第3回目の授業でした。
日経新聞からいただいた「就活ブック」、朝日新聞からいただいた「新聞社と記者の紹介」パンフレットを配りました。それぞれ良くできたパンフレットです。学生諸君は見たことがないでしょうから、役に立つと思います。
地方自治論履修者と合わせて140部。重くて、宅急便で送ってもらいました。教員控室から教室まで運ぶには、学生さんに手伝ってもらいました。

今日は、先週に引き続いて、大震災からの復興過程を、写真を見ながら解説しました。国の役割、市町村役場の役割、住民の役割などを中心にお話ししました。
写真があると興味を持ってみてもらえるので、効果がありますね。パワーポイントの操作は、今日も院生のI君にお願いしました。ありがとう。

大型連休中に本を読んでもらうべく、小レポートを課しました。 現代日本社会の問題に関する書物を1冊読み、その概要をまとめることと、 それについて自分の意見を書くことです。
あわせて、本を要領よく読む方法を伝授しました。1ページ目から丁寧に読む方法もありますが、忙しいときに全部を読まずにポイントをつかむこつです。出席カードの感想には、何人かの学生が「勉強になりました」と書いてくれました。社会人になったとき、いえ学生時代でも、要領よく仕事を進めることは重要なことです。
もう一つ、生きていく際に重要なことは、友人を作ることです。授業を休んだ際に資料をもらってもらうことや、ノートを貸してもらうこと。勤め先で悩んだ際に、相談に乗ってもらうことです。一人で悩んではいけません。

明るい公務員講座・中級編22

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第22回「部下の指導(6)困った職員への対応」が発行されました。
あなたの職場にもいるでしょう、仕事をしない職員、仕事ができない職員、身勝手な職員、セクハラやパワハラを繰り返す職員です。
昔もそのような職員はいたのですが、近年目立つようになってきたようです。特に、心の悩みを抱える職員です。統計でも、増加していることが分かっています。
なかなか良い対策はありません。しかし、面倒だからといって放置しておくと、納税者への説明がつきません。また、まじめに働いている職員に悪影響を与えます。
良い参考書もないようです。少しでもお役に立てばと思い、私の経験に基づいて書きました。今回の内容は、次の通り。
能力の劣る職員・積極性に欠ける職員、心の悩みを抱える職員、あなた一人で悩まない、短期的な評価と長期的な評判、悪い話は広がる。

ところで、前回の第21回の記事について、「私も、管理職が長いですが、職員評価の系統だった研修や、実地訓練を受けたことがありません。見よう見まねでやっていますが、自信がありません」というお便りをいただきました。多分、多くの管理職が、同じ思いだと思います。

「あなたの人生の意味」

デイヴィッド・ブルックス著『あなたの人生の意味』(邦訳2017年、早川書房)が良かったです。副題に「先人に学ぶ「惜しまれる生き方」とついています。
著者は、人間の美徳には2つあると指摘します。一つは履歴書向きのもので、社会でどのような資格を得て、成功を収めたかです。もう一つは、追悼文向けのもので、あなたの葬式に集まった人たちの思い出話として語られるもの、親切、正直、誠実といったものです。その人たちと、どのような関係を築いていたかにもよってきます。生き様、人格といったものでしょう。
前者を「アダムⅠ」と、後者と「アダムⅡ」と名づけます。Ⅰは外向きです。高い地位と勝利、世間からの評価を求めます。Ⅱは内向きです。良き生き方を求め、心の中に道徳的資質を持とうとします。Ⅰは他人との競争、Ⅱは自分または神との約束とも言えます。
この本は10人の人を取り上げ、それぞれの人がどのようにアダムⅡで立派な人生を送ったかを書いたものです。

アイゼンハワー・大統領は、自己抑制の人であったこと。マーシャル・国務長官が自制心の人であったこと。二人ともアダムⅠとして成功していますが、ここでは大変な努力家として描かれています。そういう人を、周囲が放っておかず、大きな地位に就けるのです。
ほかに、自ら進んで恵まれない人への支援を行い社会改革に取り組んだ女性たちなど。それぞれに、簡潔な伝記として、彼らが自らを律した様、それもしばしば強烈な体験が書かれています。

人生とはなんぞや、どのように生きるべきかを考えている人には、良い本です。
取り上げられている人がアメリカ人がほとんどで、しかも私たちになじみがないこと。450ページを越える厚さであることが、難点です。
1か月ほど前に読んだのですが、ほかの記事を優先していたら、今頃になりました。私の研究課題は日本の政治と行政で、主にアダムⅠの世界ですが、たまにはアダムⅡについても書いてみました。

中途採用の増加

4月24日の日経新聞に、「中途採用今年度11.8%増」という記事が載っていました。日本経済新聞社が、主な企業の採用計画をまとめたものです。調査対象は4,700社あまり、回答企業は2,536社です。
それによると、2018年春の採用計画は、大卒が11万4千人、高卒などをあわせて16万4千人です。それに対し、中途採用は4万人あまりです。単純に比較すると、新規学卒採用4に対し、中途採用が1の割合になります。
記事では、その原因は人手不足と、先進技術に対応するための即戦力を求めているとのことです。
日本の労働慣行では学卒一括採用が主でしょうが、中途採用が増えると、終身雇用制度が緩くなる=転職がしやすくなるでしょう。その職場に向いていないと感じても、退職すると次の就職先がないので我慢するといった「不幸」が減ると思います。

残業削減、やればできる

4月24日の毎日新聞が「無駄省き「7時前退社」実現」という記事で、三井住友海上火災保険の取り組みを取り上げていました。
・・・大手損保の三井住友海上火災保険は4月、残業削減に向け全社で午後7時前に退社するルールを導入した。ホワイトカラー中心の社員2万人の大企業で、職場はどう変わるのか・・・
・・・「絶対できない、と思っていた」。3月まで所長代理だった鳥飼有子(とりかいゆうこ)さん(36)=現首都圏損害サポート部=は当初、冷めた目で見ていた。電話受け付けが終わる午後5時まで対応に追われ、それから社内報告の作成に入る。たいてい午後8~10時まで「残業ありき」だった。
だが、事故を減らすのは難しいが、通話時間の短縮は可能だった。相手からの電話を受けてから対応するのでなく、要点を明確にして自分から連絡すれば、効率よく、顧客満足度も高まる。「残業をして一人前の意識だったが、今は仕事の質が最優先」
生活も変わった・・・
・・・自動車保険部の商品業務チームは、昨秋に始まった社内改革に先駆け、業務見直しに取り組んだ。23人中18人が女性で、うち6人が育児中だ。
自動車保険引き受けの規定やその確認ルールについて約600種のマニュアルを作成し、年1回の商品改定にあわせ更新する。・・・全ての業務に明確な手引書があり、細かくスケジュール管理。誰かが急に休んでも支障がないようにしていた。
「だが、業務の中身を問う視点は抜けていた」。2014年にチーム長になった萬代さんはそこに踏み込んだ。例えば、契約者が従業員であることを条件に保険料を安くする「団体扱い」の点検業務。以前は年400件の契約を抽出しチェックしており、現場の負担となっていた。そこでマニュアルを改善することで不備を激減させ、16年度に廃止した。「不備のない体制作りが目的なのに、点検が仕事と思い込んでいた」。14年度に43あった点検項目は17年度は15に減り、現場から本社への報告も数を絞った。見直しは第一線の負荷を減らし、チームの業務効率化にもつながった・・・

やればできるんですよね。記事には、長時間労働を当たり前と考える「常識」が9項目載っています。
・・・かつては一生懸命働けば、企業は業績拡大、個人は高評価という見返りがあり、長時間労働をいとわなかった。だが、産業構造の変化や働き方が多様化しているのに、意識は変わらないまま、生産性への関心が低い。長時間労働是正は生産性向上と一体なのだ・・・
原文をお読みください。