今日は、慶應大学で講義をした後、新幹線で仙台へ。日本商工会議所が主催する「日本・カナダ商工会議所協議会」で、東日本大震災からの復興について講演するためです。
20分という限られた時間、英語の同時通訳なので、資料を絞り込みました。写真中心のスライドで7枚。「これでは時間が余るかも」と心配していたのですが、同時通訳の英語を聞きながら、ゆっくりとお話ししたら、ちょうど20分でした。
このような講演は、何を伝えるか、そのためにどのような資料に絞り込むかが、重要です。
月別アーカイブ: 2017年4月
残業を減らすために日本型働き方を変える
4月4日の日経新聞オピニオン欄「働き方改革 ここが足りない」から。
オリックスCEOの井上亮さん。
・・・私は就職してから40年以上、定時退社を信条としている。顧客との夜の会合などを除けば過去3回しか残業はしていない。残業をしなくて済んだのは、仕事を自分の裁量でコントロールできたからだ。新しい案件を担当するときは最終期限から逆算して、スケジュールを立てる。いつまでに何をするか。結果が伴っていれば自由裁量が許された。もちろん顧客等の要請で急きょ残業をしなくてはならない業務も一般的にはある。ただすべての業務が急に生じるわけではない・・・
・・・グローバル市場で勝ち残るためには、今までのように「会社に労働時間で報います」といった働き方はいらない。高度成長時代は労働時間の長短が企業の競争力に大きく影響したが、今はどれだけ他社にないアイデアを生み出せるかが求められている。それぞれの企業でも創意工夫によって働き方改革を実現できるはずだ・・・
リクルートワークス研究所の石原直子さん。
・・・日本企業の生産性が低い一番の理由は意思決定が遅いことだ。特に部長や本部長といった中間管理職がリスクを取らない構造に問題がある。例えば新しい事業を始めようとするとき、課長クラスは、ありとあらゆるリスクを潰してから部長に上げる。これにかなりの時間を取られる。部長はノーリスクの計画にはんこを押すだけ、というのはよくある風景だ。
現場が半年かけて準備したことが上層部の会議で「やはり実行しない」と決まることもある。この場合、現場は頑張ったけれども成果はゼロだ。いずれも、やるかやらないのかの判断を上の人がリスクを取って最初に決めてくれれば1分ですむ話だったりする。
こうした意思決定の構造を残していては生産性は上がらない。管理職の責任と権限をきちんと定義する必要がある。管理職はリスクをとるからこそ高い給料をもらっているはずだ。責任を分散する体制も意思決定のスピードを落とす。年収2000万円の部長が5人いるより、年収1億円の部長1人がリスクをとって決めた方がいい。イノベーションも生まれやすくなる・・・
残業を減らすためには、旧来の日本型働き方を変える必要があります。原文をお読みください。
企業による営農再開支援
新鮮なお米を販売している「舞台アグリイノベーション」。かつてこのページでも紹介しました(2016年12月3日)。今度は、福島の被災地で、農家と組んで、稲作の再開を支援してくださいます。かなり工夫した仕組みです。
「記者発表資料」特に「取組概略図」を見ていただくと、関係者の役割分担と、支援の仕組みが分かります。農地の保有者19人から農地を借り受け、地元の営農組織が稲作をします。舞台ファームが技術支援をして、舞台アグリイノベーションが全量を買い取ります。
今後の、一つの稲作の形態だと思います。農家の高齢化、小さな規模では儲からないことから、集団化が必要です。このように地元の営農組織が、農地を借り受けて耕作すると、貸す側の農家も安心でしょう。特に原発事故被災地では、営農再開に様々な困難があります。今回の挑戦が成功して、広がることを期待しています。
官僚が支える国会審議
日経新聞が、4月5日から「日本の政治 ここがフシギ」を連載しています。5日は、「見えぬ議員の懐事情 遅い収支報告公開」、6日は「国会質問、前日までに通告 官僚頼みの閣僚答弁」でした。
・・・学校法人「森友学園」(大阪市)の問題を国会で追及された稲田朋美防衛相。時折、手元の書類に目を落とし、言葉を選ぶように答弁した。この書類が通常「答弁書」と言われる、官僚が作成したペーパーだ。日本では閣僚答弁のほとんどを省庁が作る。
政府方針を踏み外さず、問題発言を避けるためだ。
それを支えるのが質問通告だ。本会議や委員会で質問する議員は前日までに省庁に質問を紙で連絡する慣例だ。官僚が出向いて聞く例も多い。
通告後、役所の担当部署が中心に答弁を作り、当日朝に閣僚へ説明する。曖昧な通告は想定問答は複数必要。作業が明け方になることもある・・・
・・・財務省職員の高田英樹氏は10年ほど前まで英国財務省に出向していた。「投資市場改革の進捗を聞きたい」。審議3日前に国会から議員の質問が送られてきた。簡潔な答弁を作成し、メールで送り返して作業は終わり。
「日本で丸1日の仕事が実質3時間で終わった」。高田氏は振り返る。英国では質問は3営業日前までに書面で通告する。閣僚は冒頭の簡潔な受け答え以外は答弁書に頼らず、自分で答える。
ドイツでは質問形式で期限が決まる。答弁に最も近い締め切りでも、週末を挟んで5日前までに通告する決まりだ・・・
これは、以前から指摘されている、日本独自の慣習です。霞が関官僚の時間外勤務のかなりを、この仕事が占めています。質問がもう少し早く通告されると、効率的になるのですが。原文をお読みください。
明るい公務員講座・中級編19
『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第19回「部下の指導(3)褒めて育てる」が発行されました。
私が長い公務員生活で学習した、部下指導についての一番は、「怒ってはいけない、部下を育てるなら褒めること」です。今から思うと、とても簡単なことですが、若い時はそれに気づきませんでした。
イソップ寓話の「北風さんと太陽さん」は、話としては知っていましたが、実戦には結びつきませんでした。大臣秘書官としてお仕えした、村田敬次郎自治大臣の話は、『明るい公務員講座』p12に書いたとおりです。今回は、より具体的に書きました。大臣は、天国から笑っておられるでしょう。
結論、鞭よりニンジンです。ニンジンより、褒めておだてるです。職員としてのコツは明るいことで、上司としてのコツは褒めることです。知ってしまうと、簡単ですよね。
今回の内容は次の通り。
部下を怒ってはいけない、褒めて育てる、ニンジンや鞭より褒め言葉、部下育てはあなた育て。