4月18日の日経新聞「東電改革、何が必要か」で、冨山和彦さんが、次のように述べておられます。
・・・国鉄の分割・民営化から今年はちょうど30年だ。この30年間は日本の停滞期で、高度経済成長を支えたシステムが次々に耐用期限を迎えてきた。国鉄やNTTの民営化、金融制度改革、そして電力改革と農業改革が恐らく最後の産業社会システムの転換点になる。大手製造業など日本企業が経験してきたことだが、東電の形もこれまでと大きく変わることになるだろう。
6月の株主総会で東電の社外取締役に就く。日本航空の再生にも携わったが、東電との共通点は多い。ともに規制に守られた独占企業で、顧客より監督官庁や政界、経済界の方を向いて仕事をしてきたという点だ。
それが競争を意識しなければならない時代に変わった。かつての東電からすれば、コペルニクス的転回だろう・・・
「この30年間は日本の停滞期で、高度経済成長を支えたシステムが次々に耐用期限を迎えてきた」という見方に同感です。それは、ここに挙げられた企業や経営モデルだけでなく、政治行政を含めた日本社会の転換点でした。
日本の成功の大きな要因は、明治維新以来の西欧をお手本とした追いつけ追い越せ主義、戦後の国内という守られた範囲での競争でした。この国内条件とともに、アジア各国が追いかけてこないという国際条件の下で、経済成長、安定した社会をつくることに成功しました。
しかし、西欧に追いついたとき、国際化の波にのまれたとき、アジアが追いかけてきたときに、これらの条件はなくなったのです。
それに適応するための改革に、時間がかかりました。金融自由化で金融制度改革が必要になりました。独占企業であると思われていた、国鉄、電電公社とともに、電力会社も競争の世界に入ったのです。
また、まだ改革途中のものもあります。その一つが政治と行政であると、私は考えています。