2月27日朝日新聞「証言そのとき」は牛尾治朗さんの「脱しがらみ、民から変革」から。
・・・経済団体で様々な役職についたが、一番印象的だったのは2001年から5年半ほどつとめた経済財政諮問会議の民間議員だ。
《官邸主導が旗印の諮問会議は、公共投資10%削減、構造改革特区の導入、郵政民営化など、毎年、大方針を決めていった。ただ、選挙で選ばれていない民間人が政策づくりに直接タッチするやり方に批判も出た。》
それまでの自民党政権は大蔵省(財務省)を中心に水面下で調整し、毎年11月ころにばたばたと大臣折衝で決めるやり方を繰り返していた。与党も族議員を介し地方や農家、商店街、中小企業にカネを配る。民間は党や役所に陳情し、見返りを求める。これは政や官に依存する土壌を生みかねず、事実そうだった。
その仕組みを壊したのだから、反発や批判は当然だ。でもメンバーはみな、ひるまなかった。
諮問会議をさかのぼること約20年前、「土光臨調」で土光さんがこう言っていたのを当時よく思い出した。「(官尊民卑は)官が尊大だからそうなるのではなく、官に取り入ろうとする民の卑しい心が官尊民卑を招くのです」。卑しくなるな、との戒めである。
民間議員としての我々の主張は、物乞いや陳情とは違うんだ。公(おおやけ)は官僚だけのものではなく、まして政治だけがモノを申せるのではない。民も対等に提言し、既得権益を打破、政策決定プロセスを透明にしたから、世論の支持も受けたのだと思う・・・
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