先日、砂原庸介先生の日経新聞経済教室「個別政策、パッケージで議論」(1月10日)を紹介しました。その補遺を、ブログで書いておられます。「日本経済新聞「経済教室」への補遺」。
本文を読んでもらうとして、ここでは、次のような部分、内閣のあり方についての指摘を紹介します。
・・・もともと論じたいなあと思ったのは大きく二つあって,ひとつは複数の省庁にまたがる複合的な政策を決定するときにどういう問題があるか,どのように決定するか,ということ。もうひとつはそういった問題への対応という意味もあって実現した(と考えられる)2015年の内閣府改革の成果を紹介したいことでした。
後者については,しばしば「内閣府のスリム化」として議論されてきた話ですが,それは単に業務量を減らすというだけの話じゃなくて,背景には各省にわたる調整を首相のもとで実施しようとしていたことがあります。調整案件が増えると首相と官房長官の時間資源がどんどん侵食されていくわけですが,この改革では各省大臣に総合調整の権限を与えることで首相を相対的に身軽にして,代わりに相対的に「重い」大臣を設置する可能性が開かれることになりました。まあまだ明示的に使われているとはいえませんけど,非常に意義の大きい改革だと考えられるわけです。
なお,実質的にすでにそのような大臣が出現している可能性を指摘しているのは御厨貴先生だと思います。『政治の眼力』で菅官房長官や麻生大臣,甘利大臣(当時)をシニアミニスターと呼んでいるのがそれにあたります。TPPを担当していた甘利大臣はまさに拙稿で指摘したようなそういう性格を持っていたように思いますが,その辺もう少し分析できるかもしれません・・