仕事の上での間接部門

週刊「日経ビジネス」12月5日号は「彼らが仕事を邪魔する理由 おのれ!間接部門」です。企業などで、直接利益に結びつく部や課(製造・開発・営業・販売など)を直接部門と呼び、直接部門の業務を支援する部や課(経理・総務・人事・情報システムなど)を間接部門と呼びます。
行政においては、製造や販売という概念が薄いので、この違いは明確ではないようです。政策を扱っている課(直接部門に当たる)を原課とか事業課と呼び、それを支援する課(間接部門)を総務とか庶務と呼ぶことが、それに当たるのでしょうか。
この記事でも取り上げられているように、間接部門の課題は、2つあります。1つは、直接部門の職員からすると、仕事の「邪魔」をしないでくれです。もう1つは、経営者の立場から考えると、なるべくその費用を抑えたいことです。

これは、役所でも同じです。職員の立場から考えると、給料は人事課で計算してもらうとしても、超過勤務の申請、旅費の申請、税金の年末調整などから始まり、さまざまな研修(座学、インターネットでの研修)、防災訓練、調査への回答など、けっこうな手間を取るのですよね。
昔に比べると、勉強しなければならないことが増えました。機密情報の扱い、個人情報保護、サイバーセキュリティ、公務員倫理、セクハラやパワハラの防止、分煙、男女共同参画、ダイバーシティなど。私が公務員になった頃は、「おおらかなもの」でした。

そして、次々と来るお知らせも、たくさんあります。あなたのパソコンに来る、「職場内でのお知らせ」一覧を見てください。多分ほとんどの人が、詳しくは見ていないでしょうが。重要な通知から、会議室の予約の仕方の変更、共済からの割引券、助け合いの募金まで、すべてを読んでいたら時間がかかります。一度、1週間の勤務時間の内、職員がどれくらいの時間をこれらの対応に費やしているか、調査してもらえませんかね。
人事課(人事係、福利係)や会計課(給与係、支払い係、庁舎管理係)は、それぞれ重要なので通知を出すのですが、どんどん増殖すると、受け手である職員がパンクします。これら職員個人にとっての「間接部門」を、どのように合理化し効率化するのか。大きな課題です。これは、直接部門の職員だけでなく、総務部門の職員も同じ条件です。「明るい公務員講座」でどのように書くか、悩んでいます。

「良い謝罪」の仕方

私は、「お詫びのプロだ」と自認しています。これまでも、何度もお詫びとその記者会見をしてきました。このホームページでも、その一部を書いたことがあります。「お詫びの仕方、形も大切」「お詫びの仕方・中身が大切」「お詫びの仕方・付録」。
私より上手(うわて)の人が、おられました。竹中功さんの『良い謝罪―仕事の危機を乗り切るための謝る技術』(2016年、日経BP社)です。本の帯には、「吉本興業で35年間謝りつづけた”謝罪マスター”が極意を伝授」と書いてあります。吉本の芸人たちが起こした不祥事を、どのように謝り、収めるか。35年間、それに携わっておられたのです。
謝る際の基本は、私の考えと同じですが、その進め方、テクニックが詳細に書かれています。もちろん、事柄の性格上、固有名詞は書かれていませんし、本当のご苦労は書かれていないのでしょうねえ。
週刊「日経ビジネス」の12月12号は、「謝罪の流儀」です。

謝罪は、会社や役所の管理職になると「必須科目」になります。自治大学校でも、謝罪の模擬記者会見をする授業があります。これは、学生から最も嫌われ、かつ最も評価されている科目の一つです。連載「明るい公務員講座・中級編」でも、触れなければなりませんね。

総理、福島視察

今日12月10日は、総理の福島視察に同行しました。JR常磐線の浜吉田駅(宮城県亘理町)から相馬駅(福島県相馬市)までが、今日開通しました。津波被害が大きく、今回復旧するに際して、山際に移し高架にしました。新地駅での式典には、大勢の町民が集まっていました。
相馬駅から小高駅(南相馬市)までは再開しているので、これで南相馬市から仙台までがつながりました。残る不通区間は、小高駅から竜田駅(楢葉町)です。この区間も、JR東が工事を進めています。
その後、復興が進んでいる工場などを見てもらいました。市町村長や事業者が明るく、元気な様子が、印象的でした。原発事故からの復興は放射能が低減しないと進まないのですが、一部を残して、着実に復興が進んでいます。

復興支援、RCF設立5周年

復興支援に取り組んでくれているNPOの「RCF」が、5周年を迎え、先月末にその記念パーティーが開かれました。「その様子」。RCFは、藤沢烈さんが立ち上げたNPOで、復興支援から今は社会事業に範囲を広げています。「記念誌」をお読みください。その幅の広さと、こんな役割があるのだと、驚きます。「つなぐ」という機能の重要性に、改めて気がつきます。役所に相談されても、「そんなことはできません」と答える場合が多いでしょう。
このような会に参加すると、さまざまなな形で社会の課題に取り組んでいる人たちがいることに気がつきます。その多様さに、驚くばかりです。公務員の親玉のような私が参加すると、場違いなような場所です(苦笑)。彼らとは復興において協働できましたし、これからも、行政と協働できると思います。私が提唱する「異業種交流」です。これからは、もっとたくさんの公務員も参加して欲しいです。
世の中には、公務員だけでなく、このような形で公共の課題を解決している人たちもいます。これからますます、このような社会の課題に取り組むNPOや企業が増えてくるでしょう。また、そうありたいものです。すると、行政と公務員も、負けてはいられません。

福島沖の漁業

福島県沖では、漁業に制限がかかっています。魚から、放射性物質が検出されたことがあるからです。時間が経つにつれて、検出される魚が減っているので、制限を順次解除しています。
原発から流れ出た放射性物質が原因です。大きな太平洋で放射性物質は薄められ、海水からは検出されません。原発近くの海底の泥に残っている場合があります。簡単に言うと、回遊している魚は、放射性物質がたまりません。底物の魚、あまり動き回らず海底のえさを食べている魚に、放射性物質がたまります。
12月5日の朝日新聞が、「福島沖の全検体、検出限界下回る」で検査したすべての魚で検出限界を下回ったと報道しています。
・・・福島県が11月下旬に実施した福島沖の魚介類を対象にした放射性セシウムの検査で、東京電力福島第一原発の事故以来初めて、すべての検体で検出限界値を下回ったことがわかった。県水産試験場は、個体からのセシウムの排出が進んだことや、世代交代で汚染魚が減ったことなどが理由とみている・・・
同じ日の、毎日新聞は、「福島第1原発事故、福島沖は今。 魚の調査続く。地元、ブランド復活期待」を載せていました。
・・・原発事故後の福島沖へ自主的に船を出し、魚の放射性セシウム濃度を測定する市民組織「いわき海洋調べ隊 うみラボ」が精力的に活動を続けている。最近ではヒラメなどの底魚でも一般食品中の国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る例はなく、県の調査でもほとんど検出されていない・・・
ところで、この記事に付いている写真をご覧ください。女性が、釣った大きな魚を持っています。すごいです。90センチのヒラメです。彼女の体の半分くらいの大きさがあります。彼女は復興庁の職員で、初めての釣りだったそうです。職場の同僚が誘って行きました。
二人に取材したところ、最初は、釣り針が根がかかりした(岩に絡まった)と思ったそうです。重くて、糸と竿が動かなかったのです。魚だとわかったときは、驚いたでしょうね。タモ網も一番大きなもので、すくったとのこと。彼女を誘った指導者は、何も釣れなかったのです(笑)。こんなこともあるのですね。