大震災の大津波で流された鉄道の一部が、専用バスで復旧しています。岩手県と宮城県にまたがる、気仙沼線・大船渡線BRTです。このBRT(bus rapid transit、バス高速輸送システム)は、元の線路敷きを舗装して、バス専用道にしています。ところによっては、一般道を走ります。今回、2016年度のグッドデザイン金賞を受賞しました。
私も乗ったのですが、車体は格好良い赤で、遠くからでも目立ちます。駅舎=バス停もしゃれたデザインで、待っていても気持ちが良いです。
関係者から、「宣伝せよ」との指示が来たので、紹介します。
ところで、私は、かつては鉄路復旧派だったのですが、地元の人の意見を聞いて、バス復旧派に転向しました。理由は2つです。
1 遠くまで乗る人がいない。
私は、「鉄道はつながってこそ鉄道だ」と主張しました。ところが、地元の人曰く「端から端まで乗る人って、1年間に何人いますかねえ」。言われてみれば、ほとんどの乗客は高齢者と高校生です。町内か隣町までしか乗りません。市町村長や議員さんたちに聞いても、ご自身が県庁に行くにも東京に来るにも、自動車を使っていて、鉄道を使っている人はほぼいないようです。これじゃあ、「鉄道で復旧してくれ」と主張しても、迫力がないですね。
2 本数が増えた。
鉄道時代は、1時間に1本も走っていませんでした。それがバスになって、2倍程度に増えています。利用者にとっては、大きな列車で本数が少ないより、小さなバスでも本数が多い方が便利です。
さらに、
3 近くにバス停ができた。
鉄道の駅は動かせませんが、バス停なら簡単です。高台に移転した病院にも、玄関までバスが来てくれるのです。
欠点と言えば、雪が積もると、遅れることがあるようです。しかし、鉄道も遅れることがありますよね。
なぜ、こんなことになるのか。かつては、道路事情が悪く、車も少なかったのです。鉄道は、唯一の交通機関でした。ところが、その後、道路整備が大きく進み、また自動車も増えました。NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」で、列車で東京に行く人を見送った知人たちが、忘れ物に気付いて車で追いかけ、先回りをして駅で渡すという場面があったそうです(私は見ていないのですが)。それが、現実です。
さらに、鉄道は整備も運行も、料金でまかないます。他方、バスの場合は、道路は税金で造って、乗客の負担はありません。
北海道などで、鉄道の廃止が議論されています。幹線を除けば、高齢者と高校生が利用者なら、バスの方が便利です。