トランプ大統領、「アメリカの強さ」意味の違い

日経新聞電子版11月11日、ファイナンシャルタイムス提携記事「トランプ氏の「米国第一」、退廃と衰退の始まり」から。

・・・ケネディのビジョンの寛大さと広大さ、力強さはトランプ氏の宣言――我々の計画は米国が最優先となり、グローバリズムではなくアメリカニズムが信条となる――の狭量な国家主義との悲しいコントラストを描く。この2つのビジョンの違いは計り知れないほど大きく、不吉だ。米国の戦後世代が世界中の自由を守ると固く誓うようになったのは、理想主義からだけではなかった。ケネディが述べたように、この世代は「戦争によって鍛えられ、つらく苦い平和によって自制心を培った」。トランプ氏に投票した世代と好対照を成す。すなわちファストフードによって太らされ、テレビのリアリティー番組によって幼稚化された世代だ。

ケネディ世代は大恐慌と第2次世界大戦から厳しい教訓を学んだ。あの世代は「アメリカ・ファースト(米国第一)」――米国を広い世界の問題から隔絶しようとする政策――が最終的に、経済と政治の大惨事につながったことを知っている。だから1945年以降、共和党、民主党双方の新世代の指導者たちは世界のために経済と安全保障の構造を築いた。米国のリーダーシップと、北大西洋条約機構(NATO)、国連、世界銀行といった国際機関、同盟関係を軸とする構造である・・・

・・・中東での戦争にへきえきし、国際貿易が国内経済に問題を引き起こしていると説得されているようにみえる国では、「米国第一」政策に誘惑されるのは無理もない。米国には、経済を支えるだけの巨大な国内市場があり、国の安全も大西洋、太平洋という2つの大海で守られている。だが、もし世界から身を引けば、米国はやがて、今より貧しくなり落ちぶれるだろう。そして1930年代と同じように、最後には米国自体の安全と繁栄も、国際貿易の崩壊と権威主義者の復活に脅かされることになる公算が大きい・・・

原文をお読みください。

 

 

ホームページの引っ越し

【お知らせ・ホームページの引っ越し】
9月に、新しいホームページ(http://zenshow.my.coocan.jp/)に引っ越したのですが(といっても、URLが変わっただけですが)、いよいよ本格的に新しいサイトに移す作業をしています。
coocanのホームページは、出張先からの加筆ができないので、外からも加筆できるようにしたいのです。「容れ物」は、既に社長さん(松島樹哉・株式会社BREASTO社長)が作ってくれて、過去の記事を移す作業中です。これも、ほとんどを社長がしてくれました。10月以降の記事の引っ越しが残っています。
ところが、coocanに付けてある、閲覧カウンターのサービスが終了しました。なくてもよいのですが、この数字が増えていくのがうれしくてねえ(笑い)。もっとも、まだ初期設定ができていないので、変な数字になっています。
そこで、明日からは、新しい記事はこのサイトに書きます。coocanも、しばらくは残します。すべての記事を移し終えていないこと、サイト内のリンク先がcoocan内のページになっていること、過去記事を検索する必要があることなどの理由です。ご不便をおかけします。

今まで使っていたホームページ作成ソフト(ホームページビルダー)に慣れていたので、新しいサイトの加筆は、試行錯誤中です。新しいサイトは、いくつか手直ししたいところがあるのですが、社長と相談しながら改良します。

自動車行政の課題、藤井自動車局長

藤井直樹・国土交通省自動車局長が、季刊『運輸政策研究』2016年10月号に「自動車を巡る課題―コンプライアンスと技術革新」を寄稿しています。
読んでもらうとわかりますが、成熟期に入っていると思われる自動車行政が、いくつもの新しい課題に直面しています。多くの乗客が亡くなった軽井沢スキーバス事故、三菱自動車工業とスズキの燃費不正事案、タクシーの呼び寄せアプリやライドシェア。これらを、コンプライアンスと技術革新という観点から整理してあります。そして、現在の課題を取り上げ、その社会的、構造的問題に切り込む。さらに、将来を見通す。
「それは、運転手が悪いのです」とか「会社の問題です」と、個別事象として片付けることも可能です。しかし、それを社会的問題として考えるのです。なかなかの論文です。ぜひ、原文をお読みください。
近年は、官僚が自説を述べない、論文を書かないような気がします。でも、所管行政の現状と課題を整理し、これからの取り組むべき方向を内外に示す。それが、局長や課長に期待されている役割なのですよね。そして、評論家にならず、その課題を解決することに取り組む。これが、官僚の役割です。
藤井局長に続く官僚を期待します。(2016年11月10日)

トランプ氏勝利、クリントン候補と共和党の敗北

11月10日の朝日新聞オピニオン欄「トランプ大統領の衝撃」、久保文明・東大教授の発言から。
・・・その白人中間層が「とにかく現状を変えてくれ」というギャンブルに近い思いを込めた票が、トランプ氏に結集したのでしょう。
逆に、元大統領夫人であり、上院議員や国務長官を経験したクリントン氏は、既存の政治を嫌い、変化を求める有権者の流れに押しつぶされてしまいました。
ある意味、敗者はクリントン氏と民主党だけではありません。自由貿易、国際主義を掲げ、国際秩序を支える立場の政党だった共和党は見る影もありません。トランプ氏という反自由貿易主義、孤立主義でアメリカ第一主義の前に、これまでの共和党主流派は敗れ去りました。明らかに共和党の政策の限界を示すものでしょう・・・
・・・クリントン氏が民主党の予備選でサンダース氏に苦戦した通り、全体として、米国のエリートが米国政治の方向性をコントロールする力がだいぶ弱くなっているのかも知れません。これは英国でもそうでしょう。欧州連合(EU)からの離脱を決めた「ブレグジット」がそうでした。また、トランプ氏がこの選挙戦を通じて行ったことは有権者の不満に火をつけることで、人種や民族などの集団間の対立、分断を促進することでした。これから米国のリーダーとして、分断、対立ではなく、融合と統合を行えるのか、集団と集団を隔てる壁ではなく、架橋になることができるかが重要です・・・(2016年11月10日)